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建設学科・戸田都生男准教授らの活動が「2019年日本建築学会教育賞(教育貢献)」を受賞しました
2019.04.23
技能工芸学部建設学科・戸田都生男准教授らが協力する川上村木匠塾の活動『間伐材の活用と創造-ものづくりを通じ、人、地域、自然を活かすプロフェッショナルを育むPBL-』が、「2019年日本建築学会教育賞(教育貢献)」(主催:一般社団法人日本建築学会)を受賞しました。
「日本建築学会教育賞(教育貢献)」は、近年中に実施され、建築教育の発展に貢献した教育プログラム・機材等の業績に対し与えられます。
受賞題目
間伐材の活用と創造-ものづくりを通じ、人、地域、自然を活かすプロフェッショナルを育むPBL-
受賞者
川上村木匠塾
奈良県川上村
※戸田准教授は川上村木匠塾に1998年の学生時代から参加してその後、当活動の事務局を2012年度まで担い、博士論文の一題材とし、2017年度に20周年記念事業で講演、現在も当活動の実行委員の一員で、本件の応募にも協力しました。20年以上に渡る木造建築教育活動に対して評価頂きました。
受賞理由[(一社)日本建築学会ホームページより引用 https://www.aij.or.jp/]
本教育活動は、吉野林業の地、奈良県川上村において、20年にわたり継続している木造建築を学ぶ実践教育であり、森林、木材、木造について、保護・育成、材の生産と創造(ものづくり)、維持・保守に至る全過程を身をもって体感し、自然や地域、人間への深い理解を備えた「つくり手」を育成することを目的とするものである。川上村木匠塾は、関西圏に位置する 5 大学が連携し、インターユニバーシティを形成して、村と共同で展開するものであり、1998年の開塾以来、参加学生数の累計は1,400名を超えている。
プログラムは、半年間にわたる。参加学生は、村および林業の実態を理解し、同時に過去の参加学生たちの制作物の経年変化や加工技術の変遷を知る。また、林業家の指導の下で、間伐を行い、丸太の皮をむき、洗い、そして次年度以降に向けての乾燥プロセスを進める。その上で、大学間チームが編成され、関係者から要望についてヒアリングを行い、制作物の設計を進める。また、同時に過去の制作物のメインテナンスも行う。最終案を村の関係者にプレゼンテーションを行い、8 月の1 週間のワークショップでものづくりを行う。制作後、教員や村民から講評を受け、安全面や施工面での確認を行う。活動記録と引き継ぎ事項をまとめたレポートブックを学生自ら作成・出版して、活動は修了する。
本教育活動の意義は、次の4点に集約される。
1)学生たちが、間伐・出材から設計・施工、メインテナンスという一連の流れを総合的、体験的に学ぶことができる教育プログラムである。
2)基本材料として、未製材の間伐材を利用することにより、材の本質を理解し、自然やものづくりの困難さ、深さを体験できる。このことにより、ゆたかな国土と高質なものづくりの文化・技術を持続させる基盤を強化できる。
3) 自治体や林業関係者、村民、他大学の学生といった多様な人々とのコミュニケーションを通じて、学生個々に他者との合意形成や協働の重要性について気づきを与え、人との関係構築の力を涵養できる。
4) 学生は、過疎化や後継者問題など、日本の山林が直面する課題に触れるとともに、村民との交流を深めており、この活動が地域に活力を与えるアクティビティの一つになっている。
以上、本教育活動は川上村木匠塾と村とが強い信頼関係を育み、20年に渡って活動を継続させながら、プログラムを深化させてきている。そして、間伐材を利用したものづくりを通して、学生・村民・行政・林業関係者といった人々を巻き込み、川上村の人、自然、環境に新しい価値を生み出し続けてきた優れた教育活動の実践として高く評価することができる。