奈良の橋,建造物

  

  

北和(2025.11調査)

  

東大寺は世界文化遺産に登録された古都奈良の観光名所です.

奈良の大仏と言われる盧舎那仏坐像(るしゃなぶつざぞう)をはじめ,本堂である大仏殿,金剛力士を祀る南大門など,国宝の建造物や仏像が数多く点在しています.

大仏の造立は奈良時代の745年,聖武天皇の発願により始まり,752年に開眼供養会(かいげんくようえ)が執り行なわれています.

大仏と大仏殿は,1180年と1567年の2回焼損,焼失しており,その都度,時の権力者の支援を得て再興されています.現在の大仏殿は1709年に再建されたものです.     

   

大仏殿

  

大仏殿

  

廬舎那仏坐像(奈良の大仏)

  

大仏殿 格天井(ごうてんじょう):大仏の頭上は細かい小組格天井で大仏が大きく見える工夫がされています

   

大仏殿

   

   

大仏殿の正面に建つのが中門です.多くの寺院では中門が最も大きな門ですが,東大寺では200m南にある南大門の方が大きく造られています.現在の中門は1716年9月に大仏殿江戸再興期に南面の東西回廊とともに再建されたものです.

   

中門

   

   

南大門の創建は奈良時代ですが,当初のものは平安時代に大風で倒壊しており,現存する南大門は1203年に再建されたものです.運慶や快慶が造像した国宝の木造金剛力士立像が安置されています.

上層の正面中央には「大華厳寺」と書かれた扁額が掲げられており,これは古記録に記されていたものを,2006年10月に行なわれた「重源上人八百年御遠忌法要」に合わせて復元したものになります.

   

南大門

   

   

浮見(うきみ)堂は奈良公園の鷺(さぎ)池に浮かぶ檜皮葺き(ひわだぶき),八角堂形式(六角形)のお堂です.1916年の建造で,老朽化の為1991年から1994年にかけて修復工事が行われました.お堂に続く蓬莱橋も2010年に修復されています.

   

浮見堂と蓬莱橋

    

浮見堂と蓬莱橋

   

浮見堂と蓬莱橋

   

浮見堂と蓬莱橋

   

浮見堂と蓬莱橋

   

   

嶋嘉(しまか)橋は,奈良市元林院町の猿沢池の南を流れる率川(いさがわ ※現在は暗渠)に架かる石橋です.ならまちからお伊勢さんへと向かう伊勢街道(上街道[上つ道])の起点であり,橋脚に「明和七庚寅年五月吉日」「椿井町施主嶋屋嘉兵衛」と刻まれており,1770年に椿井町の嶋屋嘉兵衛が私財を投じて架橋したと伝えられています.

   

嶋嘉橋

   

嶋嘉橋

   

嶋嘉橋

   

嶋嘉橋

   

  

西和(2025.11調査)

   

法隆寺は607年に聖徳太子と推古天皇により創建され,斑鳩(いかるが)寺と呼ばれていました.670年に焼失しており,現在の建物はその後再建されたものです.現存する世界最古の木造建築群として,1993年に世界文化遺産に登録されています.

五重塔は607年の法隆寺創建時に建立されましたが,670年に焼失しており,7世紀後半(680年~710年頃)に再建されたと言われています.高さは32.55mで,初重から五重までの屋根の大きさの逓減(ていげん)率が大きく,五重が初重の約半分という飛鳥時代の特徴を表しています.

   

五重塔

   

五重塔

   

五重塔

   

   

金堂は607年の法隆寺創建時に建立されましたが,670年に焼失しています.現在の金堂は7世紀後半の再建と言われています.法隆寺の本堂にあたります.

   

金堂と五重塔

   

   

大講堂は金堂と五重塔の北側に位置する建物で,990年に再建されたものです.内部には薬師三尊像が安置されており,僧侶たちの修行の場としても使われていました.

                  

五重塔・大講堂・金堂

   

   

上御堂は奈良時代に天武天皇の皇子である舎人親王の発願によって建立したと伝えられています.989年に倒壊し,現在の建物は1318年に再建されたものです.堂内には平安時代の釈迦三尊像と室町時代の四天王像が安置されています.

   

上御堂

   

   

聖霊(しょうりょう)院は,聖徳太子を祀り太子の尊像(平安末期)を安置するため,1284年に東室の南端部を改築したものです.

   

聖霊院

   

  

東院鐘楼(しょうろう)は袴腰(はかまごし)と呼ばれる形式の鎌倉時代の建物で,内部には「中宮寺」と陰刻された奈良時代の梵鐘(ぼんしょう)が吊るされています.

  

東院鐘楼

   

   

開運橋は平郡(へぐり)町と三郷(さんごう)町を隔てる大門池に架かり,信貴山 朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)門前の橋です.1931年竣工の上路ゲルバートラスとトレッスル橋脚の組み合わせが貴重な橋で,橋長106m,幅員4.2mです.松尾鐵骨橋梁の製作寄進により架けられました.2007年度には国の登録有形文化財に指定されています.

   

開運橋

   

開運橋

   

開運橋 高さ30mからの開運バンジー

   

  

信貴大橋は開運橋の下流側に架かる県道236号の上路アーチ橋です.1965年竣工,橋長90m,支間長72mで,こちらも松尾橋梁施工です.

   

信貴大橋

   

信貴大橋

   

信貴大橋

   

信貴大橋

   

   

第三大和川橋梁は,三郷町のJR関西本線 三郷(さんごう)~河内堅上(かわちかたがみ)間の大和川に架かる下路ワーレントラス橋です.左岸側が川崎車輛施工の曲弦ワーレントラスで1932年の架設,右岸側は1987年の河川改修に合わせて鈑桁部を平行弦ワーレントラスへ置き換えたものです.左右の斜材がずれており,端斜材が片側にしかないトランケートトラスで,曲弦部と平行弦部のつなぎの部分は各々の斜材がクロスする形となっています.

   

第三大和川橋梁

   

第三大和川橋梁

   

第三大和川橋梁

   

第三大和川橋梁

   

第三大和川橋梁

   

   

南和(2025.11調査)

   

新町高架橋(十日市高架橋)は五條市新町の未開通の五新鉄道のコンクリートアーチ橋です.1959年に完成しましたが,開通することなく国道24号を跨ぐ部分のみ撤去され、前後はそのまま残されています.旧国鉄五新線(未成線)鉄道構造物群として2016年に土木学会選奨土木遺産に認定されています.

   

新町高架橋

   

新町高架橋

   

新町高架橋

   

新町高架橋 説明板

   

   

御蔵(みくら)橋は五條市中町の県道730号(阪本五條線)で吉野川に架かる下路曲弦ワーレントラス橋です.1954年に横河橋梁製作所が施工しました.

   

御蔵橋

   

御蔵橋

   

   

栄山寺(えいさんじ)橋は五條市栄山寺の県道137号(平原五條線)で吉野川に架かる中路アーチ橋です.橋長95m,支間長83m,1992年に松尾橋梁の施工です.

   

栄山寺橋

   

栄山寺橋

   

栄山寺橋

   

   

阿太(あだ)橋は五條市滝町の県道259号(吉野川公園線)で吉野川に架かる2011年竣工,橋長103mの下路ローゼ橋です.

   

阿太橋

   

阿太橋

   

阿太橋

   

阿太橋

   

  

吉野川橋梁は吉野町の近鉄吉野線 大和上市~吉野神宮間に位置する橋長242.4m,支間長46.9mの3連上路プラットトラス橋です.1928年の完成です.2025年度土木学会選奨土木遺産に認定されました.

   

吉野川橋梁 近鉄吉野線

   

吉野川橋梁 近鉄吉野線

   

   

高橋は吉野町河原屋の国道169号で,津風呂(つぶろ)川に架かる1930年竣工のRC上路アーチ橋です.幅員が狭く増大する交通量に対応するため,隣に同じ形式のRCアーチを架設し,一体で床版を支える構造に改築されました.2008年にも改修されています.

   

高橋

   

高橋

 

 

高橋

   

   

柴橋は,吉野町宮滝の県道39号で吉野川に架かる橋長88mの曲弦ワーレントラス橋です.1960年に横河橋梁製作所が施工しました.辺りは飛鳥時代から奈良時代にかけて吉野離宮のあった所とされ,時の天皇がたびたび訪れたと言われています.すぐ下流の「夢のわだ」は象(きさ)の小川が吉野川に注ぐ淵のことで,多くの万葉人がこの淵を歌に詠んでいます.

   

柴橋

   

柴橋

   

   

関西電力の水路橋は,吉野町の吉野川南側 県道39号沿いにある関西電力が大正時代に建設した全長約60m,幅約5mの水路橋です.吉野川上流にあたる川上村大滝から吉野町の発電所まで水を流しています.

   

関西電力の水路橋

   

関西電力の水路橋

   

   

関西電力の水路橋

   

関西電力の水路橋

   

関西電力の水路橋

   

   

桜木神社は吉野町喜佐谷(きさたに)にある古社です.吉野川へそそぐ喜佐谷川は,万葉の時代には「象(きさ)の小川」と呼ばれ,数多くの歌人に詠まれてきました.小川に架かる大末(こぬれ)橋は神社の参道になっています.

   

桜木神社

   

大末橋

   

大末橋

   

大末橋

   

大末橋

   

   

小倉(おぐら)橋は川上村の県道262号で吉野川に架かる1936年竣工の曲弦ワーレントラス橋です.上流側の鉄骨には1959年9月の伊勢湾台風時に流木がぶつかってできたひずみが残されています.

   

小倉橋

   

小倉橋

   

小倉橋のひずみ

   

小倉橋のひずみ

   

   

住吉橋は川上村東川で吉野川に架かるワーレントラス橋です.1961年,栗本鐵工所が製作しました.

   

住吉橋

   

住吉橋

   

   

友遊(ゆうゆう)橋は川上村東川の吉野川に架かる吊橋です.1998年に自然資源活用型交流促進施設として整備されました.景観への配慮と主桁の剛性を高めるため,主ケーブルから垂らしたハンガーが傾く斜めハンガー(ダイヤゴナルハンガー)と片吊工法を採用した珍しい構造となります.施工は川田工業です.

   

友遊橋

   

友遊橋

   

友遊橋

   

   

白屋(しらや)橋は,川上村のおおたき龍神湖に架かる2径間連続PC斜張橋です.橋長225m,支間長124.3m,橋脚高74m,主塔を含めた全高は124mあります.左右非対称の支間長や斜材に現場製作ケーブルを採用し, 防護管として, 着色可能で美観に優れる FRP管を初めて採用したことなど今後の橋梁技術の進歩に貢献するところが大きいとして,1991年度土木学会田中賞を受賞しています.

白屋橋を渡った先には,試験貯水が行なわれた2003年に,大規模な地すべりが発生し居住が困難となった集落全37世帯が移転した,白屋集落住居跡とダム湖を一望する白屋展望台があります.  

   

白屋橋

  

白屋橋

 

 

白屋橋

  

   

高原道俊(たかはらどうしゅん)橋は川上村の国道169号で大滝ダム(おおたき龍神湖)に架かるバスケットハンドル型ニールセンローゼ橋です.橋長135m,横河ブリッジ施工で1998年の完成です.ダム建設に当たっては村存亡の危機として「東の八ッ場,西の大滝」と称されるほどの大規模な反対運動が展開されたそうです.

   

高原道俊橋

  

高原道俊橋

   

高原道俊橋

  

   

武光(ぶこう)橋は,川上村の武木(たきぎ)川と井光(いかり)川が吉野川に合流する所に架けられたローゼ橋です.橋長113m,支間長61.3m,1997年に富士ピーエスが施工しました.

   

武光橋

   

武光橋

   

武光橋

   

武光橋

   

  

不動窟(ふどうくつ)橋は,川上村の国道169号に架かる橋長75m,主径間44.5mの斜張橋です.松尾橋梁が施工しました.近くには不動窟鍾乳洞への入口があります.

   

不動窟橋

   

不動窟橋

   

   

入之波(しおのは)大橋は,川上村入之波の大迫貯水池に架かる県道224号の橋で,吉野川本流に架かる最上流の橋とされています.橋長170m,支間長140mの中路アーチ橋で,1971年に川崎重工業が施工しました.付近には温泉もあり,登山客などが多く訪れます.

   

入之波大橋

   

入之波大橋

   

入之波大橋

   

   

粟飯戸(あわいど)橋は黒滝村の黒滝・森物語村(村が設置し指定管理者が運営するリゾート施設)で丹生(にう)川に架かる木製の下路式タイドアーチ橋です.橋長25m,幅員8m,1994年の完成です.

  

粟飯戸橋

   

粟飯戸橋

   

粟飯戸橋

   

粟飯戸橋

   

粟飯戸橋

   

粟飯戸橋

   

粟飯戸橋

   

粟飯戸橋

   

   

黒滝吊橋も黒滝・森物語村で丹生川と県道を跨ぐ115mの吊床版橋です.

   

黒滝吊橋

   

  

 

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