ウランバートル(2026.8調査)
ウランバートルにある太陽橋(ナルニー・グール)は,日本の政府開発援助(ODA)による無償資金協力で建設され,2012年に開通した全長895mの高架橋です.シベリア鉄道に繋がるモンゴル縦貫鉄道によって分断されていたウランバートル市を結んでいます.極寒のモンゴルで初めて建設された大型の鋼製橋梁(262m)を含んでいます.太陽橋の完成により交通渋滞の大幅な緩和と物流の効率化が実現し,都市経済の発展に不可欠な大動脈となっています.
JFEエンジニアリングが単独で受注し,工事一式を施工しました.鋼製橋梁は,少数桁構造と合成床版を組合わせており,近年の代表的な橋梁形式といえます.鉄道の上は送り出し架設を行いました.橋梁の施工だけではなく,橋脚の基礎工事,周辺の道路工事,舗装,信号や照明の設置にいたるまで,すべての工程を一括して施工しました.建設技研インターナショナルが設計を行っています.

太陽橋

太陽橋(合成床版)

太陽橋(合成床版と鋼製橋脚)

太陽橋

太陽橋の階段は凍結融解で傷んでいます
太陽橋の開通前は,中国の支援で造られた平和橋(ピースブリッジ)が市内唯一の南北主要橋でした.市内の北部と南部を結ぶ主要な道路(チンギスハーン通り)にある重要な橋として1963年に完成しました.ウランバートル市街地を東西に流れるトーラ川とシベリア鉄道の支線(モンゴル縦貫鉄道)の線路を跨ぎます.構造形式として鉄筋コンクリート(RC)造のT形主桁であり,一部ゲルバー構造です.劣化も激しく,凍結融解や車両衝突の影響も受けています.

平和橋

平和橋(RC構造)

平和橋(RC構造)

平和橋は車両の衝突などで傷んでいます

平和橋の中央橋脚付近の休憩場所がありますが,屋根が損傷しています.
ウランバートル市内ほぼ中央に,ナショナル・アミューズメント・パークという遊園地があります.その中に人工池があって,池の中央の館風の建物まで橋が架けられています.この橋は,多くの橋脚が通過する人の門と一体になっています.普通のコンクリート橋ですが,側面に木材でトラス型の意匠を施しているのが,よい景観を与えていると感じました.

ナショナル・アミューズメント・パーク内の人工池の建築物

ナショナル・アミューズメント・パーク内の歩道橋

ナショナル・アミューズメント・パーク内の歩道橋

ナショナル・アミューズメント・パーク内の歩道橋
市内の東側に流れるセルベ川に仮設橋がありました.鉄筋コンクリート製の橋が多いので,めずらしいです.

セルベ川の仮設橋

セルベ川の仮設橋
ウランバートル駅の西側は,腹板に孔を開けた鋼桁橋の歩道橋があります.この橋でシベリア鉄道の支線(モンゴル縦貫鉄道)を渡ることができます.

ウランバートル駅の西側歩道橋

ウランバートル駅の西側歩道橋

ウランバートル駅の西側歩道橋
また,ウランバートル駅の東側の跨線歩道橋は,パイプ配管が中央にあり,その両側を歩行者が通行できます.木製の床板が設置されていて,Railway Wood Steel Bridgeと呼ばれているようです.

ウランバートル駅の東側跨線歩道橋

ウランバートル駅の東側跨線歩道橋

ウランバートル駅の東側跨線歩道橋

ウランバートル駅の東側跨線歩道橋

ウランバートル駅の東側跨線歩道橋

ウランバートル駅の東側跨線歩道橋のパイプ配管と階段
ウランバートル鉄道駅は,モンゴルの首都ウランバートルに位置する主要な鉄道駅です.北京から国際列車でアクセス可能です.貨物列車の集積地となっています.駅の敷地内に蒸気機関車が展示されていました.
既存駅舎は,1949年にソ連の支援によって建設された歴史的建造物です.モンゴル縦貫鉄道の開通に合わせて造られ,社会主義時代の威信を象徴する壮麗なデザインが今なお色濃く残されています.建築様式はスターリン様式(新古典主義)であり,正面には左右対称のシンメトリー構造と,巨大な円柱(コラム)が並ぶスターリン新古典主義(社会主義リアリズム様式)が採用されています.内装や意匠にはモンゴルの伝統的な文化文様やレリーフが細部にあしらわれています.

ウランバートル鉄道駅

ウランバートル鉄道駅

ウランバートル鉄道駅の蒸気機関車展示

ウランバートル鉄道駅の蒸気機関車展示

ウランバートル鉄道駅前は建築中(壁やブレースが無いです)

ウランバートル鉄道駅の遠景
ガンダン・テクチェンリン寺は,(通称:ガンダン寺)は1838年に創設されたモンゴル最大のチベット仏教寺院です.社会主義体制下の弾圧や大仏の破壊を乗り越え,1990年の民主化以降に本格的な復興を果たしました,モンゴル仏教の精神的中心地です.寺院内には,26.5メートルの高さを誇る金色のメギジット・ジャンライジット像があり,その壮大さは一見の価値があります.また,寺院内には多くの仏像や壁画が飾られており,モンゴルの仏教文化を理解することができます.

ガンダン・テクチェンリン寺

ガンダン・テクチェンリン寺

メギジット・ジャンライジット像

メギジット・ジャンライジット像

ガンダン・テクチェンリン寺内部

ガンダン・テクチェンリン寺内部

ガンダン・テクチェンリン寺

ガンダン・テクチェンリン寺の門

ガンダン・テクチェンリンの僧侶が読経している寺院
ボグド・ハーン宮殿博物館の建築は,「中国・チベット様式の木造寺院群(夏の宮殿)」と「ロシア・欧風様式の石造建築(冬の宮殿)」という,2つの全く異なる建築文化が融合していることが最大の特徴です.20世紀初頭のモンゴルが,清朝(中国)からの独立とロシアへの接近を模索していた激動の歴史背景が,そのまま建築スタイルとして現れています.象徴的な「平和の門(和平と幸福の門)」をはじめとする主要建築は,釘を一本も使わずに1接ぎ手(組木)だけで組み立てられています.中国建築の強い影響を受けた,上部へ向かってゆるやかに反り返る優美な多層の屋根(反り屋根)が特徴的です.極彩色の配色と彫刻: 柱や梁は深みのある赤,緑,青,金などで鮮やかに塗装され,龍やチベット仏教の守護神,吉祥のパターンをモチーフにした精緻な木彫りが施されています.

ボグド・ハーン宮殿博物館の建築

ボグド・ハーン宮殿博物館の建築

ボグド・ハーン宮殿博物館の建築

ボグド・ハーン宮殿博物館の建築

ボグド・ハーン宮殿博物館内部にある移動式住居ゲル

ボグド・ハーン宮殿博物館内部にある石造建築
チョイジンラマ寺院博物館の建築は,20世紀初頭のモンゴルにおける宗教建築の最高傑作の一つです.清朝(中国)の建築様式をベースに,チベット仏教(ラマ教)の要素とモンゴルの伝統美が融合した,極めて独特なスタイルが最大の特徴です.主な建築の特徴は釘を使わない木造建築であり,伝統的な組木技法で造られています.また,鮮やかな装飾と彫刻が特徴であり,緑色の瓦屋根,赤い柱,青や金の緻密な彫刻が美しいコントラストを描いています.敷地内は中庭を囲むように,それぞれ役割の違う5つの主要な寺院で構成されています.
また,移動式住居ゲルの内部も見学できます.

チョイジンラマ寺院博物館の建築

チョイジンラマ寺院博物館の建築

チョイジンラマ寺院博物館の建築

チョイジンラマ寺院博物館の移動式住居ゲルの内部

チョイジンラマ寺院博物館の移動式住居ゲルの内部

チョイジンラマ寺院博物館の移動式住居ゲルの内部

チョイジンラマ寺院博物館の移動式住居ゲルの内部

チョイジンラマ寺院博物館の建築

チョイジンラマ寺院博物館の建築
ダシチョイリン寺院の建築の最大の特徴は,モンゴルの伝統的な移動式住居ゲルの形をそのまま大型化した,木造およびコンクリート製のドーム型の仏堂が集まっている点です.チベット仏教の寺院でありながら,モンゴルの遊牧民族のライフスタイルを融合させた独自の建築様式を今に伝えています.ダシチョイリン寺院は1904年から1908年にかけて建立されましたが,1930年代の宗教弾圧で旧寺院の大部分が破壊された後,残された頑丈な丸型仏堂は国家サーカス団の練習場や倉庫としてソ連時代に利用されていました.1990年,モンゴルが民主化を果たすと同時に,釈迦の生誕を祝う吉祥の日に,現在のダシチョイリン寺院として正式に再興されました.

ダシチョイリン寺院の建築

ダシチョイリン寺院の建築

ダシチョイリン寺院の仏像
ウランバートル市の中心に位置するスフバートル広場は,モンゴルの象徴的な場所の一つです.広場の中央には,モンゴルの英雄であるスフバートルの銅像が立っており,その背後には美しい政府宮殿が広がっています.この広場は,モンゴルの歴史と文化を感じることができる場所として,訪れる価値があります.

スフバートル広場

スフバートル広場の政府宮殿(国会議事堂)

スフバートル広場

スフバートル広場の政府宮殿(国会議事堂)
ノミンデパート(State Department Store / 国営百貨店)は、モンゴルのウランバートル中心部に位置する、観光客・地元住民ともに定番の最も有名な大型百貨店です。1階の大型スーパーから上階の伝統工芸品、カシミア製品まで揃っており、モンゴル土産の購入や滞在中の日用品調達に最も便利なスポットです。1921年にソビエト連邦の支援によって設立された、モンゴルで最も古い歴史を持つ百貨店です。経済と商業の中心地として街の発展を見守り続けてきました。

ノミンデパート
スフバートル広場近くに国立モンゴル歴史博物館があります.ここでは,モンゴルの歴史が詳しく解説されており,石器時代からの古代騎馬民族が出土した金細工や貴重な歴史資料,モンゴル国内の多様な民族による見事な伝統衣装,実際の遊牧生活で使用されてきた民具などが展示されています.また,実物大のゲル(遊牧民の移動式住居)が丸ごと組み立てられて展示されています.中央のストーブ(オジホ)や,奥にある家長・客人の席,馬頭琴,生活用具一式が遊牧民の作法通りに配置されています.さらに,モンゴル帝国のチンギスハーンの時代,モンゴル帝国の歴史,近代の革命や民主化運動に関する展示があります.

国立モンゴル歴史博物館の移動式住居ゲル

国立モンゴル歴史博物館の移動式住居ゲルの内部

国立モンゴル歴史博物館の移動式住居ゲルの内部

国立モンゴル歴史博物館の移動式住居ゲルの側壁構造
モンゴル国立オペラ・バレエ劇場は,1931年に設立された国立中央劇場を前身とし,旧ソ連の強い文化的影響下で発展してきました.1946〜1949年に現在の建物が建築されました.ドイツ人建築家ゲルハルト・コゼルが設計し,第二次世界大戦後の日本人抑留者が建設工事に携わった歴史があります.

モンゴル国立オペラ・バレエ劇場

モンゴル国立オペラ・バレエ劇場入口
トゥメン・エフ劇場(トゥメン・エフ民族アンサンブル)は,ナショナル・アミューズメント・パーク内にある,モンゴル伝統芸能を至近距離で堪能できる有名な劇場です.1989年の設立以来,国内外で高く評価されており,観光客向けに凝縮された素晴らしいパフォーマンスを毎日提供しています.

トゥメン・エフ劇場

トゥメン・エフ劇場の入口
相撲宮殿は1998年に開館しました.モンゴルの国技である伝統相撲(ブフ)の発展と保存を目的に建設されました.モンゴル相撲協会が管理・運営しています.社会主義時代を経て,モンゴルの伝統的なアイデンティティと誇りを取り戻す象徴として建てられました.モンゴルの伝統的な移動式住居「ゲル」の丸い屋根を模した外観が最大の特徴です.

相撲宮殿

相撲宮殿
2008年に地元の熱狂的なファンやアーティスト,政治家たちの寄付によってビートルズ像が完成しました.この像モニュメントがある一帯は通称「ビートルズ広場(Beatles Square)」や「噴水広場」と呼ばれています.ビートルズの音楽は「自由」の象徴であり,のちの1990年の無血民主化革命へと突き進む若者たちの大きな原動力となったと言われています.

ビートルズ広場

ビートルズ広場周辺は露店が並んでいます
ASAアリーナは,サーカス劇場として,1971年に当時のルーマニアの支援によって建設された青いドーム型の近代建築です.現在は,多目的施設(コンサートやイベント会場)として利用されています.

ASAアリーナ
ブルースカイタワーは,街の中心部スフバートル広場の南側に位置する,高さ105メートル,25階建ての象徴的な高層ビルです.青いガラス張りの緩やかな曲線を描いた「帆船」のような外観 は,モンゴルの代名詞である「永遠の青い空」を象徴しており,都市のランドマークとして広く知られています.設計・施工は韓国企業です.鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)および鉄筋コンクリート(RC)構造が採用されており,全面がガラスで覆われたカーテンウォール工法で建てられています.

ブルースカイタワー

ブルースカイタワー

ブルースカイタワー

ブルースカイタワー
エコタワーワン(Eco Tower One)は,建設中の同国最高層となるビルです.世界的な建築設計事務所であるAedasが設計を手掛け,地元のECO Construction LLCによって開発が進められています.高さ243m,地上55階建て,オフィス,ホテル,商業施設からなる複合ビルです.曲線を取り入れたモダンなガラスファサードが特徴です.37階にはウランバートル市街や周囲の山々を一望できるスカイロビーが設置される予定です.空力特性を考慮した外観であり,鉄骨構造が主体で,外壁にカーテンウォールを設置します.安全に配慮した外付けタワークレーンで建設中です.

エコタワーワン建設中

エコタワーワン建設中

エコタワーワン建設中

エコタワーワン建設中
フラワーホテルは,モンゴル初の日系合弁ホテルとして誕生し,社会主義時代から続く歴史的な背景を持つ老舗ホテルです.もともとは「アルタイホテル」という名称のホテルでした.当時は,主にソビエト連邦(ロシア)から派遣された技術者や専門家が滞在するための宿泊施設として使用されていました.1955年,現在のホテルの基盤となる建物が完成しました.ウランバートル市内でも非常に歴史のある建築物の一つです.1995年,日本企業が買い取り,全面的な改築を実施しました.モンゴル初の日系合弁フラワーホテルとして新たにオープンしました.大浴場,日本,韓国,中国,モンゴルの食事ができるレストランがあります.2013年に大規模リニューアルをしています.

フラワーホテル
ウランバートルは経済発展中ですが,まだまだ,インフラが不足しています.車の渋滞が激しいです.ガソリンスタンドは長蛇の列です.市内の至る所で,クラクションが鳴ります.ウランバートル市を東西に貫くメインストリートである平和大通りの地下を中心に,全長19.4km,駅数15カ所を計画し,2026年の着工,2030年8月の運行開始を目指しています.市内は徒歩かバス移動の人がほとんどなので,地下鉄に期待が大きいです.
資金調達では日本のJICA(国際協力機構)による過去の調査がベースとなっており,将来的な円借款などのODA活用も視野に入れ検討が進められています.