大分の橋

北部(2022.4調査)

宇佐神宮「呉橋(くれはし)」は鎌倉時代より前からあります.寄藻川にかかる神橋で屋根が付いた朱塗りの優美な橋です.中国の呉の人が架けたと伝えられ,名前の由来となっています.橋長25m,幅員約3m,向唐破風造りで檜皮葺き屋根,曲線が美しい木造橋であり,県指定有形文化財に指定されています.現在の橋は1951年に大改修されています.この橋が位置する西参道は昭和初期までは表参道であり,朝廷より派遣された勅使が通ったため勅使街道とも呼ばれていました.現在は渡ることができず,10年に一度の勅使祭(天皇の使者が派遣されて行われる神社の祭祀)のときにだけ扉が開かれます.

呉橋
呉橋
呉橋
呉橋
呉橋
呉橋の説明板  
宇佐神宮の橋
宇佐神宮の橋
宇佐神宮の橋
宇佐神宮の橋
宇佐神宮の石橋

耶馬渓橋は 中津市本耶馬渓町曽木・樋田,青の洞門の下流にあり,1923年に竣工しました.日本で唯一の8連石造アーチ橋で,日本最長です.橋長116.0m,最大支間12.8m,設計者は永松昇です.大分県の有形文化財に指定されており,日本百名橋の一つにも数えられています.上流の馬渓橋,羅漢寺橋とともに耶馬渓三橋と呼ばれています.地元では,オランダ橋という愛称で呼ばれていますが,これは大分県や熊本県の石橋とは異なり,長崎県に多い水平な石積みを採用しているためと言われています.建設目的は観光用でした.橋の袂では「むかえる,さかえる,ぶじかえる」と台座に刻まれたカエルの親子の像が見守っています.

耶馬渓橋
耶馬渓橋
耶馬渓橋
耶馬渓橋

湯布院の町中にある木橋です.

明治橋(めいじばし)は,大分県臼杵市野津町大字野津市の大野川水系野津川に架かる鋼橋です.国道10号(当時は国道36号)の一部として,1902年に架設されました.現存する道路用鋼鈑桁橋としては日本で2番目に古く,原位置(架橋当初の場所)にある現役の鋼橋としては日本最古の橋です.また,日本最古の鋼・コンクリート合成床版を有する鋼橋でもあります.この橋の架設当時は,日本では製鉄はほとんど行われていなかったため,英国から輸入されたドーマンロング社(英語版)製の鋼材が使用されています.橋長32.5m(16.25m × 2),幅員5.4m,主桁高1.4m.施工は大阪鉄工所(現在の日立造船)です.

明治橋
明治橋の合成床版
明治橋の説明板
明治橋の高欄

原尻橋は緒方川に架かる5連アーチの石橋で,500m下流には緒方町の観光名所でもある雄大な原尻の滝があります.全長73.0m,支間長13m,1923年完成です.

原尻橋
原尻橋
原尻橋

滝見橋は豊後大野市緒方町原尻有(道の駅・原尻の滝)にあり,緒方川に架かる木製床版吊り床版橋です.原尻の滝に向かい合って架かっています.床版にはかなり薄い杉の板が使われています.橋長90m,歩道部高さ22mの人道橋です.1992年に竣工しています.

滝見橋
滝見橋
滝見橋
滝見橋の木製床版
原尻の滝

出会橋・轟橋は奥岳川にかかる近接したアーチ式の石橋です.轟橋は1934年に森林鉄道の橋として架けられた2連の橋で,広いほうの径間(アーチの幅)が32.1mと日本一を誇ります.一方,出会橋は1924年に架けられ,径間が29.3mと日本第二位となってます.
下を流れる奥岳川の両岸には,阿蘇火砕流の溶結凝灰岩からなる見事な柱状節理が見られ,自然が作った造形美と人が作った造形美の双方を楽しむことができる場所です

出会橋
出会橋
出会橋
轟橋
轟橋
轟橋
出会橋・轟橋の説明板

宇佐市院内の石橋

大分県は全国で最も石橋が多い地域でありますが,中でもこの宇佐市院内町には75基もの石橋が残されており,うち,アーチ橋(めがね橋)は64基と日本一を誇っています.
この地に石橋が多い理由はいくつかあります.一つは院内町の地形は深い渓谷を形成しており,その流れも急であるため,住民は頑丈で流されない石橋を必要としたこと.二つ目は石橋作りに必要な材質となる石が豊富に採石できたこと.そして三つ目は,生活に必要不可欠な棚田や石垣等を組む技術を持った優れた石工が多かったことです.
中でも『石橋王』と呼ばれる石工の名棟梁・松田新之助は,関西でアーチ橋設計の技術を学び,明治30年に帰郷してからは「鳥居橋」など代表的な14基の石橋を手がけ,うち,11基が現存しています.その他にも,安心院町や本耶馬溪町にも彼が手がけた石橋が残っています.建設途中に崩壊した「富士見橋」を,名工の意地と信念で私財をなげうって完成させたという感動的なエピソードもあります.

鳥居橋は,天に伸びる細く長い橋脚から「石橋の貴婦人」と称され,リズミカルな5連アーチの美しさを見せる宇佐市院内町を代表する石橋です.鳥居橋の由来はこの地区の小字名である鳥居原からきています.

鳥居橋
鳥居橋
鳥居橋
鳥居橋の説明

御沓橋は橋長59mであり,町内最長を誇る3連アーチ橋です.1925年に架設されたこの橋は,町を南北に流れ激しく侵食した恵良川にしっかりと立つ様は頼もしさを感じされ,当時のモダンなセンスが活かされています.川面に映しだされた姿も幻想的です.

富士見橋は細く長い橋脚を持つ鳥居橋とは異なり,その太い橋脚から重厚感を醸し出す石橋で,橋上より由布岳(豊後富士)を眺望できることから名づけられた石橋です.

富士見橋
富士見橋
富士見橋
富士見橋の説明
富士見橋とPC橋
富士見橋横のPC橋が心配です

福厳寺羅漢橋福厳寺閻魔洞(市史跡)前の池に架橋

別府明礬橋は1989年7月に開通した,九州横断自動車道長崎・大分線の別府~湯布院間にかかるコンクリート上路アーチ橋です.橋長411メートル,地上約50メートルのコンクリート固定アーチ橋であり,別府八湯のひとつ明礬温泉にかかり,アーチ支間距離235メートルは当時,世界第8位になります.容姿ともに東洋一をほこり,優美でかつ力強い.風光明媚な別府の自然とよく調和しています.

別府明礬橋
別府明礬橋
別府明礬橋
別府明礬橋

神原渓谷大橋は大分県竹田市に2002年に建設された上路PCアーチ橋です.長さ236m,アーチ支間長135m,幅員8m。ロアリング工法で施工したアーチ橋としては,国内で最大の支間長となります.ロアリング工法はまず,アーチリングを支間中央で2分割して,それぞれのアーチ橋台上で垂直方向に建設し,二つのアーチリングをケーブルで所定の位置まで倒して接合する工法です.

神原渓谷大橋

 

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