宮崎の橋

北部(2021.12調査)

高千穂三段橋は,とても美しい高千穂峡に架かる3段のアーチ橋で,下から神橋(石造アーチ),高千穂大橋(鋼上路アーチ),神都高千穂大橋(コンクリートアーチ)になります.

高千穂峡
高千穂峡
高千穂三段橋
高千穂三段橋
高千穂三段橋

県道が通る一番下の「神橋(しんばし)」は,かつてここにあった古い木造橋に代わって戦後間もなく架けられた橋です.一見すると純粋な石橋のように見えますが,実はコンクリート部材をベースにしており,その上に石が積まれているハイブリッドな造りです.かつてこの渓谷を横切ろうとする人々は,長い急坂を下り,ここを渡ってまた急坂を上って行ったとのことです.竣工は大正時代で,長さ31m,高さ31.3mです.

神橋

次いで架けられたのが,二つ目の「高千穂大橋」で,1955年に竣工した鋼鉄のアーチ橋です.神橋に比べるとかなり上方に架けられており,この橋によって人々は深い峡谷を上り下りする苦労から解放されました.長さ96m,高さ75mです.

高千穂大橋
高千穂大橋

そして,最も新しいのが2003年に竣工したコンクリート長大橋「神都高千穂大橋」です.この架橋によって,高千穂峡を横断する国道にも急カーブがなくなり,交通の便が飛躍的に向上しました.本橋は,一般国道218号高千穂バイパスの中間地点にあたり,この急峻な地形と景観に配慮した渓谷の約115m上空を跨ぐ,PC補鋼桁を有する逆ランガーアーチ橋です.橋長300m,水面からの高さ115mです.

神都高千穂大橋

 

槍飛(やりとび)橋は高千穂峡を流れる五ヶ瀬川の最も狭い部分にかけられた橋です.ここは1591年に延岡領主高橋元種に攻められ三田井城が落ちた時に,橋がなかったため逃げ出した家来たちが槍を使って対岸に飛び渡ったことで槍飛と呼ばれたそうです.

槍飛橋
槍飛橋

 

高千穂橋梁は上路ワーレントラス構造であり,2008年に廃線となった高千穂鉄道高千穂線の深角駅と天岩戸駅間にある全長353.76mの鉄道橋で,岩戸川の渓谷を跨いでいます.最大支間117.6m,1971年完成です.橋が跨いでいる岩戸川の河底から桁の上面までの高さは105mあり,供用されていた頃は日本でもっとも高い鉄道橋でした.高千穂線が2005年の台風被害により廃線となったことで,橋梁での列車運行は終了しましたが,2013年より遊具施設としてトロッコ車両による走行が実施されています.

高千穂橋梁
高千穂橋梁
高千穂橋梁
高千穂橋梁

 

鹿狩戸(かがりと)橋は上路式鋼2ヒンジアーチ橋であり,1931年に国道218号に架けられた橋です.現在は県道下野・鹿狩戸線となっており,深い谷を駆け抜けるようなシャープで洗練された姿を見せています.橋梁設計のパイオニアとして知られる増田淳氏の設計です.橋長61.7m,幅員8mです.

鹿狩戸橋

 

雲海橋は鋼中路式非対称ローゼ橋であり,1973年に完成しています.訪れた時は耐震補強工事中でした.高千穂町と日之影町の間に架けられた橋梁で,橋長199m,最大支間長160m,橋高103mです.

雲海橋
雲海橋
雲海橋
雲海橋
雲海橋
雲海橋

 

天翔大橋は日本最大の鉄筋コンクリート固定アーチ橋であり,日之影町岩井川に所在し,五ヶ瀬川に架かる橋です.2000年に完成しました.建設時の名称は高松大橋と呼ばれていました.アーチ支間260m,水面から橋面までの高さ143mは,ともに鉄筋コンクリート造橋の中で国内最大です.五ヶ瀬川上流部に位置し,高さ100mにもなる柱状節理の渓谷上に架橋された橋です.

天翔大橋
天翔大橋

 

青雲橋は鋼上路式スパンドレルブレースド・アーチであり,1984年11月に開通しました.全長410m,幅員12m,水面からの高さ137mは建設当時の国道の橋としては国内最大であり,「東洋一」とも呼ばれていました.日之影町の重要な観光名所であり,道の駅青雲橋(1994年設置),青雲橋公園が近くにあります.

青雲橋
青雲橋
青雲橋
青雲橋
青雲橋

 

龍天橋は上路式ローゼ橋であり,日之影町にある道路橋で五ヶ瀬川を跨ぎ,七折宮水地区と岩井川大人地区を結んでいます.水面からの高さが100.2mあり,最大支間200m,橋長260m,幅員8mです.1990年に完成しました.橋の真下を宮崎県道237号北方高千穂線が通っています.

龍天橋
龍天橋

神影大橋は日之影町大字岩井川に架かるバスケットハンドルニールセン形式の下路アーチ橋であり,橋長123.8m,幅員8mです.

神影大橋
神影大橋
神影大橋

 

綱ノ瀬橋梁は戦前最大級のスパンを有するわが国初の鉄道用鉄筋コンクリート開腹アーチ橋であり,貴重な土木遺産です.竣工は1937年で,上路型コンクリート連続アーチ橋です.総延長は417.8mで,上流側径間7.1m,下流側径間7.8mの無筋コンクリートアーチ橋42連と支間長47.8mの鉄筋コンクリートアーチ橋1連から構成されています.2005年の台風14号による甚大な被害のため,現在廃線になっています.

綱ノ瀬橋梁
綱ノ瀬橋梁と槙峰大橋(スパンドレルブレースドアーチ)

 

第三五ヶ瀬川橋梁は1939年に完成した日之影町にある全長274.8mの鉄道橋で,2008年に廃線となった高千穂鉄道高千穂線の日向八戸駅-吾味駅間にあり,五ヶ瀬川を跨いでいます.単線上路ワーレントラス46.8mとRC方丈ラーメン17.2mから構成されています.

第三五ヶ瀬川橋梁
第三五ヶ瀬川橋梁
第三五ヶ瀬川橋梁
第三五ヶ瀬川橋梁

干支大橋はブレースドリブ中路アーチ橋であり,日本唯一の干支のまちである延岡市北方町にちなんで名付けられました.1994年に完成しており,支間275mはブレースドリブ固定アーチとしては,空港大橋(広島県,アーチ支間380m)に次いで国内二番目の規模になります.五ヶ瀬川を挟んだ地形地質や交差する高千穂鉄道から,中路式の非対称アーチ形状とし,剛性を高めるためアーチリブをトラス形式としました.

干支大橋
干支大橋
干支大橋

 

中部(2021.12調査)

米良大橋は西都市の一ツ瀬ダムに架かる道路橋としては宮崎県唯一の吊橋です.1962年に完成しました.橋長159.3m.

米良大橋
米良大橋
米良大橋
米良大橋

 

米良稲荷橋は西米良村越野尾の国道219号に架かるランガーアーチ橋です.一ツ瀬川の中程に架かり,その赤い橋の袂から山道を登ると,児原稲荷神社(こばるいなりじんじゃ)の朱塗りの鳥居が現れます.1962年竣工で,汽車製造が施工しました.

米良稲荷橋
米良稲荷橋

 

かりこぼうず大橋は西米良村大字村所字田無瀬に架かる全長140mの木橋で,木造のキングポストトラス橋3連から構成され,日本国内では木造車道橋として全長および支間長が最大です.15m単純桁橋×1連+50mキングポストトラス×2連+25mキングポストトラス×1連から構成され,幅員11.4mです.2003年に完成しました.まだ木材の腐食は大丈夫でした.格点部や弦材上フランジに鋼材を使用して工夫しています.駒井ハルテックの製作です.

かりこぼうず大橋
かりこぼうず大橋
かりこぼうず大橋の説明板
かりこぼうず大橋
かりこぼうず大橋
かりこぼうず大橋
かりこぼうず大橋
かりこぼうず大橋

 

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