広島の橋,建造物

広島市内(2022.11,2023.9調査)

太田川大橋は西区の太田川放水路最下流部に架かる道路橋です.2014年3月竣工.橋長412.5m.橋種選定にあたり国際的なデザインコンペティションが行われ,車道は6径間連続鋼・コンクリート複合アーチ橋,歩道は橋梁本体と分離した特徴的なデザインとなっています.2014年度土木学会田中賞を受賞しています.

太田川大橋
太田川大橋
太田川大橋

旭橋と新旭橋は西区の太田川(太田川放水)に併設されている道路橋です.旭橋は上流側に位置する3連のアーチ橋で1960年3月竣工です.上り線のみとなります.

新旭橋は2層式トラス橋で上路は西広島バイパスから続く高架橋,下路は下り線のみです.1973年3月竣工で,橋長は双方287.0mです.

旭橋
旭橋・新旭橋
旭橋・新旭橋
新旭橋
新旭橋

本川橋は中区の本川に架かる道路橋です.1897年に広島初竣工の鋼橋として架設されましたが,1945年に被爆し直後の枕崎台風で落橋しています.板を渡しただけの仮橋で戦後の物資不足が続くなか,交通の要所であったため再建が決定,1949年部材に旧光海軍工廠の廃材を使用し架替えられました.橋脚は1897年当時のものを補修しながら使用しています.橋長73.2m,幅員6.7m.2021年度土木学会選奨土木遺産に認定されました.

本川橋
本川橋
本川橋
本川橋

元安橋は中区の元安川に架かる道路橋です.1920年に鋼橋となり,1945年の原爆投下では爆心地から130mと最も近い橋でしたが落橋は免れました.被爆当時の親柱・中柱を利用し1926年竣工当時の姿を再現したデザインで1992年に架替えられています.日本百名橋のひとつ.現橋は橋長56.4m,幅員16m.

元安橋
元安橋
元安橋の親柱
原爆ドーム

平和大橋は平和記念公園の東側に位置し,東西に縦断する平和大通りが元安川を跨ぐ箇所に架かる道路橋です.かつて架けられていた「新橋」という木橋が1945年に被爆し落橋,架替えられたものです.現在の橋は一等橋の単純鋼鈑桁形式の橋としては戦後初の全溶接であり,全溶接の一等橋としては恵川新橋(広島県大竹市)に続き2例目となります.

平和大橋
平和大橋

宇品橋は広島湾の元安川と京橋川の合流地点を跨ぐ橋で,2000年3月竣工です.渡河部がパイプアーチ橋,陸上部が単弦アーチ橋という2つが組み合わされています.2000年土木学会田中賞を受賞しています.

宇品橋
宇品橋
宇品橋

工兵橋は中区白島北町の京橋川に架かる歩行者用吊橋で,橋長77.8m,幅員1.8m.1921年に現在の形となる吊橋が架けられ,1933年に架替えられました.1945年に広島市内への原爆投下により被爆,爆心地より約2.3kmに位置し床版の一部が落下しましたが,爆風方向に対して平行に架かっていたため落橋せず,大勢の被爆者が渡って避難出来たとのことです.老朽化に伴い1954年に架替えされ現在のものが3代目となります.

工兵橋
工兵橋
工兵橋
工兵橋
工兵橋
工兵橋

荒神橋は南区猿猴橋町の猿猴川に架かり,広島遠鉄本線の軌道と両側に車道と歩道がある併用橋です.1939年完成で,橋長80m,幅員20m.爆心地より1.9kmにあり爆風により欄干が破壊されましたが落橋は免れました.現存する6つの被爆橋梁(京橋・栄橋・比治山橋・猿猴橋・荒神橋・観光橋)のひとつです.

荒神橋
荒神橋
荒神橋の親柱

広島大橋は広島湾に架かり南区仁保沖町~安芸郡坂町を結ぶ国道31号バイパス(広島呉道路)を構成する道路橋です.1973年の竣工当時,橋長1,020.0mは渡海橋としては国内最長であり,主橋梁部である3径間連続鋼床版箱桁橋は,最大支間長150mで日本最長でした.

1990年,東西方向に海田大橋が架橋され,2000年に仁保ジャンクションが全面開通しています.1973年度土木学会田中賞を受賞しています.

広島大橋
広島大橋

海田大橋(かいたおおはし)は南区仁保沖町~安芸郡坂町の広島港東部に架かる3径間連続鋼床版箱桁橋です.総延長2,900mの臨海道路のうち主橋梁部は550m,先に架けられた広島大橋と仁保JCTで合流しています.1990年12月の竣工で,架橋地点は5,000t級船舶の航路となっていることから,建設当時,主径間250mは日本最長でした.愛称は広島ベイブリッジで,1990年度土木学会田中賞を受賞しています.

海田大橋
海田大橋
海田大橋
海田大橋

九十九橋は安芸郡海田町の瀬野川に架かるワーレントラス橋です.1950年の竣工で,橋長70m,幅員4.6m.本川橋と同様に部材に旧光海軍工廠の廃材を使用しているため,リベット孔や空襲の際に空いた弾痕を見ることが出来ます.2021年度土木学会選奨土木遺産に認定されています.

九十九橋
九十九橋
九十九橋
九十九橋

猿猴橋(えんこうばし)は南区猿猴橋町~南区的場町の猿猴川に架かる橋長62.5mの道路橋です.猿猴とはこの地方に古くから伝わる伝説上の生き物のことで,最初の架橋は安土桃山時代の広島城築城の頃といわれています.現在の橋は1926年に永久橋として架替えられた鉄筋コンクリート桁橋で,花崗岩造りの装飾が施された絢爛豪華な橋でしたが,太平洋戦争中の金属回収令により装飾品は撤去されています.原爆投下により被爆,爆心地より約1.82kmに位置していましたが落橋せず,被爆者の避難路となりました.2011年度に土木学会選奨土木遺産に認定,2016年には四隅の親柱の上に地球儀に乗り羽ばたく大きな鷹の像と,欄干の桃を掲げる2匹の猿猴の装飾などが復元されています.

猿猴橋
猿猴橋
猿猴橋

東部(2022.11,2023.9調査)

広島空港大橋は三原市本郷町にある広島中央フライトロードの中核をなすアーチ橋で,愛称は広島スカイアーチです.2011年4月竣工.橋長800m.沼田川の渓谷を跨ぐ橋で,山陽本線を跨線し,県道33号を跨道しています.アーチ支間長380mで日本一です.2011年度土木学会田中賞を受賞しています.

広島空港大橋
広島空港大橋

広島空港進入灯橋梁は広島空港開港時に滑走路の延長線上に建設された橋梁です.空港は三原市の山中に作られたため,滑走路と同じ長さが必要となる進入灯は,西側の谷になっている部分へ架橋する形で設置されました.1993年の竣工当時は滑走路が2,500mで進入灯も280mでしたが,2001年に滑走路延長に伴い進入灯も786mとなっています.橋脚高約60m.

広島空港進入灯橋梁
広島空港進入灯橋梁
広島空港進入灯橋梁

西部(2022.11,2023.9調査)

甘日市市にある厳島神社の反橋は別称勅使橋ともいい,天皇の使者(勅使)だけが渡ることが出来ました.橋長24m,幅4m.高欄は丹塗り,橋桁は墨塗りで鎌倉期には架橋されていたようです.現在のものは1557年,毛利元就・隆元父子により再建されたものです.

 

厳島神社の反橋
厳島神社の反橋
厳島神社の反橋
厳島神社の大鳥居
厳島神社の社殿

音戸大橋は橋長172.0mのランガー桁橋で,この形式では完成当時日本一の規模であり,狭小な音戸側用地の制約と1,000t級の大型船舶が航行できる桁下高を確保するため2層半螺旋式高架橋という日本で初めての技術が取り入れられました.

音戸大橋
音戸大橋

第二音戸大橋は音戸大橋の慢性的な渋滞解消を目的として架橋された中路式ニールセンローゼ橋です.橋長492.0m,最大支間長280mはアーチ橋としては完成当時国内第4位の規模でした.アーチの中央部は国内では前例のない空中ジョイント一括架設で,インターネットでライブ中継されました.2012年度土木学会田中賞を受賞しています.

第二音戸大橋
第二音戸大橋
第二音戸大橋
第二音戸大橋
第二音戸大橋

早瀬大橋は江田島市の東能美島と呉市の倉橋島を結ぶ国道487号にあるトラス橋です.呉市本土と倉橋島の間は音戸大橋で結ばれており,この橋は江田島市と本土を結ぶ重要な橋となっています.橋長623.5m,最大支間長222.0m,1973年の竣工です.

早瀬大橋
早瀬大橋

安芸灘とびしま海道は呉市の南東に位置する下蒲刈島(しもかまがりじま)から愛媛県今治市の岡村島を7つの橋で結ぶ連絡架橋ルートです.瀬戸内海に浮かぶ島々を,庭園をわたる飛石(とびいし)にたとえて名付けられました.本州と下蒲刈島を結ぶ安芸灘大橋(あきなだおおはし)のみ有料となっています.

 

1号橋 安芸灘大橋

安芸灘大橋は呉市の本州側と下蒲刈島を結ぶ吊橋です.2000年1月竣工.橋長1,175m,中央径間750mに対して側径間は本州側が255m,下蒲刈側が170mと非対称構造となっています.1999年度土木学会田中賞を受賞しています.

安芸灘大橋
安芸灘大橋
安芸灘大橋
安芸灘大橋

2号橋 蒲刈大橋

蒲刈大橋(かまがりおおはし)は下蒲刈島と上蒲刈島(かみかまがりじま)を結ぶ橋長480mの3径間連続下曲弦プラットトラス橋です.1979年10月の竣工で,7橋のうち最初に架けられた橋です.

蒲刈大橋
蒲刈大橋
蒲刈大橋

3号橋 豊島大橋

豊島大橋は呉市豊島と瀬戸内海の上蒲刈島を結ぶ吊橋です.橋長903.2m,最大支間長540.0m.県鳥であるアビに因んでアビ大橋の愛称でも親しまれています.2008年11月の完成で,本土側の呉市川尻町から下蒲刈島,上蒲刈島,豊島,大崎下島(おおさきしもじま),平羅島(へらしま),中ノ島(なかのしま)を経由し,愛媛県今治市の岡村島(おかむらじま)までの7つの島が陸路でつながりました.2008年度土木学会田中賞を受賞しています.

豊島大橋
豊島大橋

4号橋 豊浜大橋

豊浜大橋は豊島と大崎下島を結ぶ3径間連続下曲弦プラットトラス橋です.1992年11月の竣工で橋長543.0m,最大支間長240.0m. 高欄には,アビを模した装飾が施されています.

 

豊浜大橋
豊浜大橋

5号橋 平羅橋

平羅橋(へいらばし)は大崎下島と平羅島(へらしま)を結ぶ橋長98.5mの橋で1995年8月の竣工です.通航が小型船に限るため,桁下が5mと低く設定され,海面が近く塩害に対して耐久性が高いコンクリートで,航路確保の為に中間に橋脚を置かず大崎下島側の視界確保を重視した結果,平羅島側のみ主塔がある片吊り型のPC斜張橋が採用されました.

平羅橋
平羅橋
平羅橋

6号橋 中の瀬戸大橋

中の瀬戸大橋は平羅島と中ノ島を結ぶ橋長251.0mのバスケットハンドル型ニールセンローゼ橋です.

大崎下島―平羅島―中ノ島―岡村島を結ぶ「安芸灘オレンジライン」は中の瀬戸大橋の完成により開通し,特産品である柑橘類の栽培と流通を支える経路となっています.1998年10月の竣工です.

中の瀬戸大橋
中の瀬戸大橋
中の瀬戸大橋
中の瀬戸大橋
中の瀬戸大橋

7号橋 岡村大橋

岡村大橋は呉市の中ノ島と愛媛県今治市の岡村島を結ぶバスケットハンドル型ニールセンローゼ橋です.橋長228.0m,1995年8月竣工で,国内で唯一の海上で県境を跨ぐ道路橋です.

岡村大橋

大芝大橋は東広島市安芸津(本土)と大芝島を結ぶ橋長470.0mのPC3径間連続斜張橋です.1997年10月完成で,同時期に竣工した平羅橋とともにPC斜張橋における技術的向上に貢献した橋でもあります.1997年度土木学会田中賞を受賞しています.

大芝大橋
大芝大橋

呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)は呉市宝町にある科学館で,戦前・戦後の同市における船舶製造技術を主な展示内容としています.

実物の10分の1サイズの戦艦大和の模型
実物の10分の1サイズの戦艦大和の模型
零式艦上戦闘機六二型

道路を隔てて海上自衛隊呉資料館(てつのくじら館)が建っています.

ゆうしお型潜水艦「あきしお」
 

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