東京の橋

 

皇居周辺(2022.02調査)

  

二重橋(にじゅうばし)は皇居正門から長和殿へ向かう途上の二重橋濠に架かる鉄橋のことで、本来の名称は正門鉄橋である.ただし戦前の書籍にも二重橋に正門石橋の写真を用いるものが多く,一般には正門外石橋と正門内鉄橋の二つを併せて二重橋とする総称が用いられている.正確には,正門鉄橋はかつて木橋であった.その下に橋げたを支えるもう一つの橋があったため二重橋と呼ばれました.手前の正門石橋は,めがね橋でも二重橋でもないので注意が必要です.正門には皇宮警察がいて,通常一般人は二重橋を渡ることはできない.

正門石橋は,1887年に花崗岩でできたアーチ橋に架け替えられた.正門鉄橋は1888年に木橋から鉄橋に架け替えられ(初代),1964年に同じデザインの正門鉄橋の架け替えが行われている.

二重橋(正門内鉄橋)
二重橋(正門外石橋)
二重橋(正門外石橋)
二重橋(正門外石橋)
二重橋(正門外石橋)
二重橋(正門内鉄橋)

現在のアーチ型竹橋は,大正15年に帝都復興事業で架設されました.平成5年に周辺景観との調和や補強を目的とした改修が行なわれ,白・黒・桜のみかげ石の橋に装いを新たにしました.

竹橋
竹橋

 

平川門のところに架かる平川橋は,数度の改修ののち1988年に現在の木橋に架け替えられました.現橋はヒノキ材が使われ、橋脚と橋台は石造りです.親柱の擬宝珠は寛永や慶長などの銘が彫られている.

平川橋

東京港(2021.10,11調査)

 

東京ゲートブリッジは,東京港第三航路(東京東航路)を跨ぎ中央防波堤外側埋立地と江東区若洲を結ぶ橋梁である.恐竜が向かい合っているような特異な形状をしており,全長2,618m(陸上部アプローチ橋を含む)のトラス橋である.水面から橋梁最上部の高さが87.8m,海上を跨ぐ区間の長さが1,618mで,RC橋脚の上部に鋼3径間連続トラスボックス複合構造の橋桁が架けられ,4車線道路が設けられている.

建設地が東京国際空港(羽田空港)に近く航空機の飛行ルート上にあるため,航空法により橋の高さに制限が課されている一方,東京東航路を通る大型船舶が航行可能な桁下の高さ54.6mを確保すべく,吊橋や斜張橋ではなく,トラス構造が採用された.また,支間長は440mで,日本国内のトラス橋としては生月大橋(同400m)を上回り,港大橋(同510m)に次ぐ規模である.主橋梁部橋長は 760mである.2012年に完成している.

東京ゲートブリッジ
東京ゲートブリッジ

 

レインボーブリッジは,幅員29m,中央径間570m,主塔の高さ126mの吊橋です.ただし,主塔は長大吊橋に見られるようなトラス構造ではなく,ラーメン構造となっている.主塔の基礎と台場側のアンカレイジはニューマチックケーソン工法で建設され,海上に建てられている.橋桁は上下2層の補剛トラス構造になっており,上層には首都高速11号台場線,下層には中央部に新交通システム・ゆりかもめが,その両側に臨港道路海岸青海線が通る鉄道道路併用橋である.なお,上層の首都高は台場側アプローチ部分に台場出入口が設けられている.下層の両外側にはレインボープロムナード歩道があり,無料で歩いて渡ることができる.自転車については,専用の貸し出し台車に載せて手押しでの通行が可能である.豪華客船「クイーン・エリザベス2」の通過・晴海埠頭への接岸を想定し,桁下高さは52メートルある.日没後にはライトアップが行われ,観光名所になっている.

レインボーブリッジ
レインボーブリッジ
レインボーブリッジ
レインボーブリッジ
建設中の様子1
建設中の様子2
建設中の様子3
完成時の様子
ライトアップ1(完成時)
ライトアップ2(2014年)
朝焼けのレインボーブリッジ(2012年)

 

奥多摩・青梅(2022.03調査)

 

軍畑橋梁は昭和4年に竣工したレッスル橋脚2つを有するプレートガーダー橋です.

軍畑駅から線路沿いに歩き,踏切を超えてちょっと行ったら見えてきます.赤い塗装が眩しいトレッスル構造で,余部鉄橋で有名ですが,下から見ると迫力があります.河川と道路のある谷間を交差しています.

軍畑橋梁
軍畑橋梁
軍畑橋梁
軍畑橋梁

 

奥多摩橋は,戦前の鋼アーチ橋の中で最大支間長108mを誇る雄大な2ヒンジ・ブレースドリブアーチ橋です.幅員5.5m(歩道含む),水面から高さ33m,アーチライズが大きく非常に優美な橋梁で,近代土木遺産に選定されています.橋長176mで,アーチの両側に22.3mの上路ボーストリングトラス(魚腹トラス)が3橋設置されています.1939年,宮地鉄工で建造されました.

奥多摩橋
奥多摩橋
奥多摩橋
奥多摩橋
奥多摩橋(魚腹トラス部)

 

昭和橋は鉄骨で組まれたアーチ橋です.奥多摩駅近くの氷川キャンプ場から河原に出ると見ることができます.1959年に建設され,橋長は97.5mです.拡幅時にローゼ形式からスパンドレル・ブレースドアーチ形式に斜材を入れて補強しています.

昭和橋
昭和橋
昭和橋

 

もえぎ橋はJR青梅線の終端の奥多摩駅の近くにある1998年7月開業のもえぎの湯と対岸の氷川キャンプ場結ぶ橋で,トラス構造の補剛桁がなく軽量に造られています.このため風がネックとなるので,ストームロープが張られ,橋の歩道部分のねじれ振動を制御しています.

もえぎ橋
もえぎ橋
もえぎ橋

 

雲仙橋は幅員が狭い吊橋の主塔を残していますが,トラス構造に改築されています.坂道を下りきると,周りには民宿などが複数あり,その先に雲仙橋の橋台にでます.橋の規模から車の通行は2トンまで,実質バイクや軽自動車以外は無理です.

雲仙橋

 

将門(まさかど)大橋はJR青梅線の鳩の巣駅から約900m南東方向にあります.また青梅街道から新しくできた将門交差点を南に下っていくと,将門大橋に繋がります.この橋の形式は,下路式ローゼ橋です.2012年完成,支間長108m,幅員10mです.

将門(まさかど)大橋
将門(まさかど)大橋

 

鳩の巣大橋は,将門大橋とほぼ平行に並んでいます.上路式逆ローゼ橋です.1957年完成で,橋長35mです.急な谷間に架かるアーチ橋で,クラウン部が桁と剛結されています.

鳩の巣大橋
鳩の巣大橋

 

万世橋は1つのアーチの上部にトラス構造の鋼部材が組まれています.この万世橋は青梅街道に繋がる吉野街道に架かる橋です.橋の周辺からは橋脚部分を観ることができませんが,明るいグレーの逆ランガーの上にワーレントラスが設置されているトラスドランガー形式で珍しいです.1957年完成,橋長122.9mです.

万世橋
万世橋

 

奥多摩大橋は橋長265mの鋼2径間連続鋼床版斜張橋で,支間割は104.0m+159.3mです.有効幅員12mです.北側にキャンプ場に河原へ降りる階段があります.1996年に完成した斜張橋で,ケーブルはレインバイブレーション対策と思われる突起があります.

奥多摩大橋
奥多摩大橋
奥多摩大橋
奥多摩大橋

 

杣(そま)の小橋は歩行者専用吊橋です.この辺りはここから下流の御岳方面に変化のある流れが続くので,カヌーやラフティングの発進基地になっています.

杣(そま)の小橋

 

軍畑大橋はJR青梅線の軍畑駅(いくさばたえき)近くにあり,奥多摩川に架かる橋の中では大きく,橋長129.5mの中路ローゼ橋です.歩道が左右に設置されています.塗装塗替え工事が行われていました.深く抉られてしまった地形の南北にある青梅街道と吉野街道をつないでいます.

軍畑大橋
軍畑大橋

 

好文橋(こうぶんばし)は青梅市梅郷〜二俣尾を結ぶ,パイプアーチ橋です.この橋は現在,車が通行禁止の歩行者専用のアーチ橋です.建設は1975年で,橋長138.0m,道幅歩道3.0m,高さ20m(水面まで)です.

好文橋

 

和田橋はライズの小さいパイプアーチ橋で,補剛桁とアーチを繋ぐ垂直材もパイプ構造です.最寄り駅はJR青梅線の宮ノ平駅と日向和田駅のほぼ中間位置にあります.1965年建設,橋長98.6m,車道7.3m,高さ16m(水面まで)です.

和田橋
和田橋
和田橋

 

万年橋は2本の橋で構成されていてます.下流側は今までの面影を引き継いだSRCコンクリートアーチ橋で,アーチ支間は82.0mです.もう一方の上流側は上路開腹トラスで,橋長は93.0mあります.

以前の万年橋は1907年(明治40年)に建設され,2001年まで供用されていました.幅員3.6m,橋長89m,支間長76mの2ヒンジ・ブレースドリブアーチ橋です.戦前1943年に木床版をコンクリート床版にして,鋼アーチ部をコンクリートで巻立てて合成構造(SRC)にしました.

・鋼アーチ橋時代 明治40年(1907)〜昭和17年(1942)までの36年間
・合成アーチ橋時代昭和18年(1943)〜平成13年(2001)までの59年間
計95年間,万年橋を支え続けてきました.

万年橋
万年橋
旧万年橋
旧万年橋
旧万年橋

 

柳淵(りゅうえん)橋は釜の淵公園にあります.この橋は桁もアーチも鋼管で製作されていいます,ハンガーロープが斜めに張られたニールセローゼ橋です.1971年建設,橋長103mです.とてもスレンダーで現場溶接されています.

柳淵(りゅうえん)橋
柳淵(りゅうえん)橋
柳淵(りゅうえん)橋
柳淵(りゅうえん)橋
柳淵(りゅうえん)橋
柳淵(りゅうえん)橋

 

鮎美橋は2径間鋼斜張橋です. A型主塔の2面吊りで,スッキリして景色に溶け込み,釜の淵公園のランドマークとなっています.柳淵橋を渡った先にあります.1983年建設,橋長121mです.

鮎美橋
鮎美橋

 

首都圏中央連絡自動車道(圏央道)が通る多摩川自動車橋は,ダブルデッキトラス橋です.この多摩川自動車橋は,普通は対向車道を平行に付ける場合が多いですが,この橋は上下2段になっています.一部大きな遮音壁が設置されています.

圏央道 多摩川自動車橋
圏央道 多摩川自動車橋

 

友田水管橋はトラスドランガー橋で,上部が歩道でトラス下部に水道管が設置されています.都道249号線の多摩川橋のすぐ上流川にあります,こちらも多摩川橋と同じく,最寄りの駅はJR青梅線の「小作駅」です.

友田水管橋
友田水管橋
友田水管橋
友田水管橋

 

新矢柄(しんやがら)橋は,あきる野の秋川に架かる檜原街道のアーチ橋です.橋長96m幅員は歩道含めて10mです.アーチリブが鋼桁上部を斜めに設置され,そこから鋼桁支間部を斜めにケーブルで吊った鋼アーチ支持桁橋です.アーチ型タワーで弾性支持されており,約100mの橋長が成り立っています.2008年に建設されました.

新矢柄(しんやがら)橋

 

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