香港の橋梁調査

2月下旬に研究室4年生と一緒に香港に橋梁調査に行きました.卒業研修を兼ねています.

ご存じの通り,香港の新空港建設時期にいくつかの長大橋を建設しています.ボートをチャーターして見学しました.また,ビクトリアピークや夜市などを見学して,学生さんも大変勉強になったと確信しています.計画から実施まで大変ですが,このような機会を得られたことは,皆さんのお陰であると感謝しています.

 

汲水門大橋(Kap Shui Mun Bridge)は香港にある斜張橋で汲水門海峡を隔てて,ランタオ島(大嶼山)と馬湾島を結んでいます.全長820m,最大支間長430mで道路と鉄道を併用する斜張橋としては有数の規模となります.香港国際空港の開港直前である1997年に開通し,その年の土木学会田中賞を受賞しています.熊谷組(香港)・前田建設工業・横河ブリッジ・日立造船の4社によるJVが施工しました.

本橋は2層構造になっており,上層部は片側3車線の道路,下層部は箱桁の中に2つの鉄道路(エアポートエクスプレスと地下鉄東涌線)と2車線の保守用道路が設けられています.昔,IABSE国際会議のポストツアーで現地見学に参加しました.

 

汲水門大橋全景

 

汲水門大橋は鋼コンクリート複合構造です.

 

青馬大橋(Tsing Ma Bridge)は香港国際空港の開業に合わせて1997年に建設された吊橋です.青衣島と馬湾島を結び全長2,160m,最大支間長1,377mで2層構造になっており,世界一長い道路鉄道併用橋として知られています.本橋も上記同様の2層構造になっています.昔,IABSE国際会議のポストツアーで地組立ての現地見学に参加しました.

 

青馬大橋全景

 

側径間は短く,桁を吊っていません

 

汀九橋(Ting Kau Bridge)は九龍半島新界地区の汀九と青衣島を結ぶ世界初の3塔の4径間斜張橋です.1998年の開通で全長1,177m,2 つの主要スパンはそれぞれ 448 mと 475mの長さで,アプローチ道路を含むと全長は 1,875 mになります.

橋はドイツのSchlaich Bergermann & Partnerによって設計されました.

 

汀九橋全景 4径間斜張橋です.

 

中央主塔から最上段のケーブルは太くて側主塔付近で定着しています.

 

主塔の下部工から面外に横梁を出してケーブルで菱形にして橋軸直角方向の剛性を高めています.このようなケーブルの使い方は合理性も感じています.

 

 

昂船洲大橋(Stonecutters Bridge)は青衣島から昂船洲を通って九龍半島に繋がる斜張橋で2009年に完成しました.全長1,596m(中央径間1,018m・側径間289m)で,水面から橋上までの高さが73.5m,主塔の高さは298mあります.主塔はコンクリートですが上部のケーブル定着部はステンレス構造になっています.施工は前田建設工業・日立造船・横河ブリッジ・新昌の4社によるJVです.

昂船洲大橋全景

 

昂船洲大橋は上下線の間に空間を設けています.

 

船旅も思い出に残るものですね.

 

すぐに調子に乗ってしまいます.

 

九龍TST船着き場近くの旧九龍駅舎跡の時計塔

 

夜市にて

 

ビクトリアピークの旧ケーブルカー前にて

 

ビクトリアピークの展望台にて

 

ビクトリアピーク 100万ドルの夜景