ネパール カルナリ川橋他調査

ネパールにあるカルナリ川橋(Karnali-Chisapani Bridge)は,橋長500m,主径間長350mのマルチケーブル斜張橋です.片側張出し350mあるので,完成当時の1993年では注目に値する規模です.私が所属していた川崎重工が製作,架設を行いましたが,今も部分的に塗装が劣化している以外,床版,桁,ケーブルなどは健全でした.建設当時の技術力の高さを改めて感じました.多くの諸先輩方が努力された結果,見事に難工事を完成させたことを感じました.

本橋は,桁高さ3mの合成トラスであり,合成斜張橋としては初期のものです.55N/mm2のRCプレキャスト床版を現地ヤードで製作して,架設しました.

完成後27年経過しているので,塗装の塗替えが必要です.特に主塔の横梁の下面等,添接板の周辺が腐食しているように見えました.何とかメンテナンスを行って,長く使ってもらいたいと思います.

ケーブル相互間を結束して,レインバイブレーションなどの振動対策を行っています.

伸縮装置も健全でしっかりしている感じでした.短径間端部のケーブル定着部路面にゴミや土砂が溜まっているので,定期的に清掃して,地際部のガセットプレートの塗装や止水を行ってほしいと思います.カウンターウエイトも見ることができました.

大型車両も通行しています.そのたびに振動を感じますが,問題があるような揺れではないようです.橋の上では記念写真を撮影している人が多く,現在でもネパールNO.1の橋梁です.

カルナリ川橋主径間側
カルナリ川橋主径間側
短径間側桁端部カウンターウエイト
RCプレキャスト床版は健全
ケーブル定着部の腐食状況
短径間端部
短径間端部のケーブル
土砂やゴミが溜まっている
主塔
主塔横梁下面隅角部に腐食
伸縮装置は健全
ウインド沓も健全

曇り空で美しい写真が撮れずでしたが,現地到着時のみ雨が止んだだけでもよかったです.もう少し鮮明な写真が必要であればお送りします.カルナリ川橋の報告はここまでです.

 

マハーカリ・ジョルンガ橋(Mahakari Jholunga Bridge)はネパールのインド国境近くのマヘンドラナガールの街の南西で,サーダ川を渡河する吊橋です.バイク,自転車,歩行者用の橋です.結構揺れます.ストームロープがなかったらとんでもないことになるのでしょうね.床版はユニットタイプの手作り感のある簡単なグレーチングです.

鋼製の主塔8本を備えた4つの吊橋で構成され、全長は約1.5kmに及びます.ハンガーはロッドで全長に渡ってより線ケーブルのダイアゴナルステーが設置されています.幅員は1.6mで狭く,バイクが横を通過するときは危険です.

遠くまで続くマハーカリ橋,ストームロープあり
高欄はなくネットのみ
同行してくれたネパールからの留学生ロザン君
FBと鉄筋からなるグレーチング床版
全長に渡ってハンガー+ステーロープを設置
ハンガーは丸鋼
主塔基部はピン構造
アングルを溶接して構成した主塔

 

カトマンズ市内の新設橋の調査

カトマンズ市内空港側にコンクリートニールセン下路アーチ橋が最近建設されました.うーん.モルタルを塗っていますが出来栄えがいまいちです.ケーブルにステンレスシースを巻いており,一見防食を考えているようですが,グラウト

されていません.定着端部にシース管とソケットの間に比較的大きな隙間もあり,これは某落橋事故と同じではと思いました.中国企業がこの施工を行った?と聞きましたが,技術力がある会社も多いはずなのに,他国では利益優先でしょうか?

 

コンクリートアーチ橋 仕上がりが悪い
ハンガーロープにステンレスシース管
グラウとしていない 隙間があります
隙間が見えます

カトマンドゥ・バクタプル

パシュパティナート

パシュパティナート寺院はシヴァ神を祭る寺院ネパール最大のヒンドゥー教徒の聖地です.1979年に世界文化遺産に登録されたカトマンズ渓谷の主要な構成要素の一つでもあります.ガンジス川の支流であるバグマティ川のすぐそばにあるパシュパティナートにはヒンドゥー教徒の遺体を焼いて灰にする火葬場があります.バグマティ川の水で死者の体を清め,灰になる前の人間の体を失う最後の儀式が行われます.カトマンズの人気観光地ですが,ヒンドゥー教徒以外の人は立入禁止の寺院です.

 

パシュパティナート寺院
パシュパティナート寺院
ロザンの日本語学校の先生

ボダナート

ボダナートはネパール最大のチベット仏教の仏塔で,チベット仏教徒にとって聖地と言われている場所です.ネパール最大のストゥーパ(仏塔)の高さはおよそ36mで,世界文化遺産カトマンズの渓谷の一部として登録されていて,人気観光スポットとなっています.カトマンズの仏塔で目に付くのがカラフルな旗.カトマンズの仏塔に飾られている旗はタルチョーというもので幸せを願うシンボルです.

ボダナート

ロザンの家はカトマンズから12km離れた古都バクタプルにあります.

ロザンの実家
食事後に地元の自家製ヨーグルトを頂きました
ロザン君のご両親
ロザン君一家(お兄さん)

バクタプル

カトマンズ盆地の東端にあり, 12世紀~18世紀の時代に古代ネワール人の都市として栄えたネパール東部の第三州の

バクタプル郡の郡都. 人口は約8万3658人.バクタプルはレンガ造りの建物が美しい世界遺産の古都です.

 

スワヤンブナート

小高い丘の上にある仏塔スワヤンブナートはネパール最古の仏教寺院です.仏塔までは400段の階段を登ります.スワヤンブナートは,1979年に世界文化遺産に登録されたカトマンズ盆地の主要部分でもあります.仏塔・ストゥーパの高さは15m.その姿は目を見張るものがあります.驚くほど沢山の猿がいることから,別名モンキーテンプルとも呼ばれています.

 

パタン

正式名称は「美の都」を意味するラリトプルです.パタンは299年に建てられたといわれており,カトマンズ盆地では一番古い町といわれています.パタンは仏像・彫刻などの伝統工芸が有名なエリアで,芸術的な町として知られている通り,美しい歴史的建造物が並びます.数多くの芸術家を生み出した場所とも言われています.

 

 

カトマンズダルバール広場

ダルバールとはネパール語で宮廷を意味し,マッラ3王国時代からカトマンズ王国の中心地として栄えて来ました.パタンとバクタプルにも世界遺産のダルバール広場は現存し,それぞれの王が美しさを競い合ったため,どの広場にも見応えのある装飾や技法が施された宮殿や寺院が建ち並んでいます.

ミヤンマー打合せ&橋梁調査

住友商事(株)と(株)きんでんは,AGTI(Association of Government Technical Institute)とミャンマーの電気工事技術者を養成する支援プログラムを実施する協定を2014年より行ってきており,ヤンゴン市インセイン区にあるGTIインセイン・キャンパス内に職業訓練教室「サクラ-インセイン テクニカルコース」を開設している.AGTIでは「送配電工事コース」と「一般電気工事コース」の2つの講座が開設され,現在はAGTIが単独で運営を行っている.

2/28にAGTIを訪問し,ミヤンマーにおける訓練校制度の状況をヒヤリングした.また本学は実習授業が多いことなどを説明したところ,この訓練校卒業生のものつくり大学への入学と,GTI短期大学卒業生のものつくり大学への編入学を今後模索すべく,情報交換を行うこととなった.

AGTIとのミーティング
AGTIとのミーティング
AGTIでの記念撮影

2/28にヤンゴン市内の商業施設現場見学をさせていただいた.日本企業フジタが元請けの現場であり,1日に1900名の作業員が働いているとのことであった.

ヤンゴン市内の商業施設建設現場
施工管理の状況を確認

2/29,ミヤンマー南部のモーラミャインまで,ヤンゴンから車で約6時間かけて,東西経済回廊EWEC-JV/コンサル事務所を訪問した.JAICA案件でIISが斜張橋に架け替え予定の現地,アトラン橋とザタピン橋を見学した.これらは中国が約20年前に建設した斜張橋と吊橋であるが,腐食や輪荷重による劣化が激しく,通行荷重を13tonに制限している.

アトラン橋
アトラン橋 13tonに重量制限
床版は横桁にチャンネルを軸方向に並べた構造であり,溶接は切れて凸凹,車両走行位置は多くの孔があいている状況
斜材の鋼管は腐食してグラウト材が割れて落ちている.中の素線も少し切れている状況
床版もケーブルも損傷が激しい.
ザタピン橋も損傷がひどく,振動が激しい
昨年の落橋事故後,テーブルのアンカレイジ側の止水補修を実施

また,J&M(JFEエンジニアリングが出資しているミヤンマーの橋梁メーカー)が建設したアウンサンブリッジを見学した.この橋はブレースドリブアーチでアプローチの箱桁も立派です.橋の手前に資料館もあり,建設時の記録が公開されています.

アウンサン橋
アプローチの箱桁橋
展示室の模型

移動途中,応急仮設橋がありました.近年,このタイプが欧州でも見られるようになってきました.

応急仮設橋
応急仮設橋は古くなった橋梁の中間橋脚上にも設置させている.
応急仮設橋 の桁端部
古い橋桁

卒業旅行! 沖縄

研究室4年生の卒業旅行で沖縄に来ています.当初,シンガポールを予定して年末から予約していました.その旅程が香港経由便だったので,新型コロナウイルスを警戒して断念しました.その代案として,沖縄に変更しました.

 

7月に本学でGFRP橋の曲げ耐荷力実験およびせん断耐荷力実験を実施しましたが.その対象橋梁である浦添大公園歩道橋を見学できました.この橋はVI法により製作したGFRP成形材をエポキシ樹脂接着剤で集成した箱桁橋です.軽量,強靭,腐食しないなどの特徴があります.

浦添大公園歩道橋にて
浦添大公園歩道橋
浦添大公園歩道橋
浦添大公園歩道橋 桁端部

また,焼失した世界遺産首里城の現場も行きました.

首里城守礼門にて
首里城焼失現場
首里城焼失現場
史跡 王陵
首里観音堂

その他,各地に桟橋形式の歩道橋があります.これらはGFRP引抜き成形材をステンレスボルトなどで集成しています.

瀬永島階段
北明治橋のコンクリート橋の外壁
こどもの国の浮橋
こどもの国の浮橋
こどもの国の浮スロープ
伊計平ロードパーク歩道橋
伊計平ロードパーク歩道橋 (台風で化粧板が剥がれている)
伊計平海中道路斜張橋
わんさか大浦パーク
わんさか大浦パーク
轟の滝
轟の滝
轟の滝
轟の滝 (ステンレスボルトによる接合部)
古宇利島大橋 PC
ブナセ海中展望塔
ブナセ海中展望塔
ブナセ海中展望塔
ブナセ海中展望塔  桟橋腐食部
おもろまち アーチ橋
おもろまち アーチ橋
おもろまち PC橋のFRP高欄
おもろまち FRP高欄接合部の破壊
おもろまち FRP高欄 接合部キャップなし.
美ら海水族館
美ら海水族館
美ら海水族館 ジンベイザメ
国際通り夜も楽しく
国際通り夜も楽しく
島唄を聞きながら食事
島唄を聞きながら食事

卒論発表会 無事終了

1/29,30卒論発表会がありました.研究室メンバーは全員無事に発表が終わりました.以下の卒論テーマをまとめてプレゼンしました.お疲れ様でした.ベトナムからの留学生HAI君とBINH君も頑張りました.2/5に卒論の審査も終わりました.ご協力いただきました共同研究者の方々に感謝いたします.

●トラス橋下弦材格点部のCFRPシートによる補修工法に関する実験研究(豊島幹大)

●高強度緻密モルタルの上面増厚材としての適用性に関する実験研究(関貴悠)

●ブリコン2019橋梁模型の接合部の変形性能に関する研究(川端加奈子)

●各種充填材料を用いたCFTの強度特性に関する基礎実験研究(前田宗国)

●鋼構造板厚変化部のCFRP補強に関する実験的研究(LE TRONG BINH)

●GFRP橋の曲げおよびせん断耐荷力に関する実験的研究(稲木等)

●CFRP 補修を行った腐食鋼管の連成座屈強度に関する実験研究(DINH NGOC HAI)

●高伸度弾性パテ材が鋼材とCFRP の継手強度に与える影響に関する実験研究(清水大輝)

 

発表の様子
発表の様子
発表後の記念撮影(ブリコン2019の橋梁模型)
発表後の記念撮影(ブリコン2019の橋梁模型)

新東名の建設現場見学

1/17にNEXCO中日本の新東名高速道路建設現場に研究室で見学会に行きました.今回で3回目です.毎年,工事の進捗があります.昨年ケーソン掘削中だった柳島高架橋は橋脚が立ち上がり,波型ウエブPC橋の張り出し架設中の現場などをじっくり見せていただきました.工事用のインクラインにも乗せていただきました.トラック2台を乗せて,アバット側に上がることができます.そこには鉄筋で作った芸術品(恐竜)がありました.

昨年掘削工事中に見学させていただいた,Tトンネルも工事がほぼ完了しており,建設の方法などを学生に教えていただきました.トンネル覆工コンクリート用の移動型枠を見ることができました.

工事を担当されていました建設会社さんから,会社説明もしていただき,学生も視野が広がったのではないでしょうか?