2017後期活動開始

夏休みも終わり,本学も後半の3Qが始まりました。

研究室も新たに3年生8名を迎え入れ,4年生10名と合わせて18名となりました。

なんとか野球の対戦ができる人数という噂です。

 

研究室は手狭なスペースですが,日々,入れ替わり学生が顔を出すようになりつつあります。

できるだけ外の活動にも参加できるよう授業単位も早めに取得しておくとよいと思います。

また卒業研究もそろそろ本格的にペースアップする時期です。

4年生のその姿を3年生が早い段階で見て学ぶように,

最低月に1回は3,4年合同ゼミを開始することにしました。

これとは別に4年生は毎週1回,3年生は隔週1回のペースで,

これ以外に各プロジェクトが随時進行中です。

最近では長期プロジェクトとして行田市の足袋蔵調査や戸田市の空き家活用プロジェクトが動き出しました。

 

短期プロジェクトでは行田市教育委員会の子ども大学ぎょうだ,本学の女子高生公開講座などを終え,

それぞれ参加者皆さんに楽しんで頂けたようで何よりです。

 

 

学園祭に向けたもろもろのプロジェクトもそろそろ佳境です。

研究室ゼミ合宿2017@京都3日目

ゼミ合宿3日目は舟屋で有名な町,京都府伊根町です。

ここは「伝統的建造物群保存地区」(略称:伝建地区)という全国各地に残る歴史的な

集落・町並みが保存された場所の一つです。

2日目の美山町茅葺民家の景観が山村,中山間地の伝建地区とすれば,

ここは港湾,海の伝建地区といったところでしょうか。

 

船の収納スペースが家の1階部分にあり,海と連続した構成にあります。

 

 

次に,宮津市の天橋立を見に行きました。曇天でしたが見事な松並木の連続的な風景がありました。

遠景,近景ともに情緒のある貴重な空間でした。

芝生から遠景,砂浜から近景としてそれぞれの集合写真です。

砂浜では学生らが「戸田研 天橋立2017 09 06」と描いてくれました。

 

 

自然にできた地形の不思議さが現在にも残る見事な空間だと思います。

今回のゼミ合宿は旅行的な要素もありますが,建築を学ぶ上で空間や風景(景観)を実際に体感することが,

単に図面の描き方やモノの制作技術に勝る劣らず大切な視点ということを学べたと思います。

研究室ゼミ合宿2017@京都2日目

ゼミ合宿2日目は茅葺民家で有名な町,京都府南丹市美山町です。

ここは「伝統的建造物群保存地区」(略称:伝建地区)という全国各地に残る歴史的な

集落・町並みが保存された場所の一つです。

 

整えられた「景観」としての魅力はさることながら、

いくつかの茅葺き民家には住まいとしての生活感のある「風景」も見られます。

現在も茅葺の葺き替えが行われており,貴重な技術継承でもあります。

 

美山町の大野地区では教員がかつて携わっていた美山木匠塾(もくしょうじゅく)の

見学をさせて頂き,参加校の京都府立大学と摂南大学との学生メンバーと交流を行いました。

 

 

宿泊は茅葺民家も敷地内にある河鹿荘で,美山牛乳も美味しくリフレッシュできたようです。

研究室ゼミ合宿2017@京都1日目

9月4日~6日まで京都で戸田研究室のゼミ合宿を行いました。

4年生10名,3年生2名,教員1名の合計13名で,各所を巡りました。

1日目の最初は,京都府立大学の環境心理行動学研究室(松原研究室)のゼミ見学をさせて頂きました。

普段,私たちが行うゼミと比べ,松原先生と学生,学生同士の意見交換も活発で大変,励みになりました。

 

稲盛記念館会館前で戸田研,ゼミ室で松原研と戸田研の記念撮影。

次に,横内敏人建築設計事務所で横内先生から,木造の事務所,ゲストハウス,庭園などをご案内頂きました。

 

東山の山麓の由緒ある場に,爽快で謙虚な佇まいの空間が点在しています。

先生いわく,「住宅は開口部が全て」とのことで,内外の繋りを窓からの風景,床と地面との高さ関係,

家と庭の関係から見ているようでした。断熱や構造にも配慮された設計であることも説明頂きました。

 

基本的には手描き図面のより木造の納まりやスケールを身に付け,現場での変更も,

スケッチにより対応しやすいとのことでした。

プレゼン時のスケッチと完成写真を見比べると,完成後の実際の空間とほぼ同じように

仕上がっていることが分かります。これには設計を目指す学生らは驚きを隠せない様子でした。

夏休み!研究室の地域貢献活動

8月は授業がお盆前まであり,夏休みは授業はなくても採点や研究などやるべきことは多いですが,

埼玉の工務店や設計事務所,材木店などの関係者皆さんの取り組みに協力する地域貢献活動も活発です。

 

上尾市の工務店では地域の方々を招く木工教室やソーメン流し等をお手伝いしながら

木育をテーマにした卒業研究のアンケートを取らせて頂いたり,

伊奈町の建材・材木店の倉庫の敷地では感謝祭で木を学ぶ教室や左官ワークショップ等に協力しました。

 

浦和の喫茶ギャラリーでは土壁改修ワークショップや木育等,2日間に渡り協力しました。

 

ここは明治24年築の古い納屋を改装した日本茶喫茶で詳しい活動は榊住建様のサイトで紹介頂きました。

 

土と藁と水を入れて学生たちが練っていきます。

また,地域のお子さんにも木のおもちゃで触れ合う場を提供されていました。

 

2階内部には見事な古材の梁が表しになっています。

土壁を塗ることはもちろん,木造建築を体感する貴重な機会にもなりました。

 

様々な現場で様々な人たちと触れ合う機会が学生らにとっても貴重な経験となっていると思います。

教員としても建築設計実務等の話を現場や事務所の人達から聞くことができ,

学内だけでは困難な現状の最新情報などを得ることもあり,非常に有意義な交流にもなり感謝です。

研究室のゼミ風景

8月上旬までが前半の2Q最終ゼミでした。

戸田研究室2期生となる新3年生も8名配属が決まり,4年生ふくめて合計18名となりました。

3年生は多くの学生と事前面談し,希望者から選抜することになりましたが,

どの研究室に行っても先ずは本人がいかにやる気を出すか,

教員は学生のやる気をいかに引き出すかが大切だと思います。

 

全員が本格的に揃っての活動は9月以降になりますが,

4年生は卒業研究や卒業設計にむけて最低週1回のゼミで全員発表,質疑応答を行い,

状況を共有しています。

発表は言葉だけでなく必ず映像か配布物でも行うことを義務付けて,

プレゼンテーションの重要性を体験してもらっています。

内容によってはこれ以外に個別に研究室で意見交換して対応もします。

 

とにかくお互いが生のコミュニケーションをとることで得られる情報の質がよく,

伝わりやすさや理解の程度もメールなどより圧倒的によい気がします。

毎回,同じメンバーの発表や意見交換を続けることの一方で,

たまに外部から社会人のゲストを呼びます。

先月はスギダラケ倶楽部埼玉支部から二名(建築士とウェブデザイナー)を招き,

埼玉県産材のアピールの仕方について意見交換し,実際にメディアによる広報宣伝として

動画撮影を実験的に行いました。

 

 

最初は恥ずかしがっていた学生も何度か撮影を繰り返すうちに慣れてきて,

楽しくのって撮影を終えました。

(ゼミ生以外の周りの学生はいったい何をしているんだ?という目線でしたが笑)

木の宣伝テーマは「Wood Emotion!」です。

人の嬉しい,楽しいなど主に人のポジティブな感情を通して木の魅力を伝える趣旨です。

音楽を何度も聴きなおす,ライブで自身の体や他者といっしょにのるような感覚で

木という生物や材料を多くの人に伝えていくことになりました。

まだ実験段階ですが,これからの展開が楽しみです。

動画は,スギダラケ倶楽部埼玉支部のサイトをご覧ください。

杉のバードコール スギダラケ倶楽部埼玉支部

梅雨の只中,猛暑の日々が続いています。

当研究室の地域貢献として,スギダラケ倶楽部埼玉支部と協力して,

工務店などが開催する木工教室などのイベントで遊べる「木のバードコール」

のサンプルを制作することになりました。

 

バードコール(Bird Call)とは, 木に挿したボルトなどをまわすと,

小鳥のさえずりのように音のなる小物です。これを「鳴木声」と命名しました。

製造学科の先生と学生にもご協力頂き,杉の表面にはスギダラケ倶楽部埼玉支部の

マークや本学のロゴマークをレーザー刻印しました。

 

 

杉は実習で出た端材をカットして小口にドリルでボルト穴を開けます。

現状はサンプル制作のため,改善案を練り,

今後,本学の公開実習や地域貢献活動に活用する予定です。

ひもを通し,首からぶら下げても良さそうです。

2017, 3年生研究室配属ガイダンス -希望される学生皆さんへ-

本日は3年生を対象にした研究室配属ガイダンスでした。

話を聴いてくれた皆さん,ありがとうございました。

鉄板ネタ?で笑って頂けたようで,大変嬉しかったです。

 

笑いや楽しさが人を前向きに元気にさせる,

そんな当然のような場面やことに着目して,日々,空間や場所を観察し続けることで

その魅力に気づく,あるいはデザインしてつくるヒントやセンスの向上になると思っています。

 

当研究室を希望する学生皆さんはホームページを見て,

詳しくは研究室を訪ねて私や4年生の学生と話をしましょう。

ゼミも公開しているので事前に問い合わせてください。

 

既に数名の学生さんは研究室を訪問してくれていますが,

何度訪れて頂いても構いません。事前にできる限り,連絡を頂けると助かりますが。。

卒業や将来に向けて,なぜ研究や設計をするか?それぞれ一緒に考えながら進んでいきましょう。

建築家:隈 研吾 氏の記事を執筆しました。

今年の2月にパレスホテル大宮で行われた,本学の特別公開講座で建築家・東京大学教授の隈研吾氏の「デジタル・ファブリケーション-新国立競技場から未来のものづくりに向けて-」と題した講演について,私がものつくり大学通信に執筆した記事が公開されたので,以下にリンクとともに転載します。

主に,デジタル技術を駆使した新国立競技場に対して,隈氏が著作「小さな建築」でも述べられているように人間的なスケールのモノの仕組みを積み上げることで,建築を使う様々な人と空間が見事につながっていることを論じました。

ものつくり大学通信第17号,p.16 (PDFデータ9P)

隈氏は2020年東京オリンピックの新国立競技場の設計者で、小学生の時に1964年東京オリンピックで代々木体育館の吊り構造の美しさに魅せられ建築を志されました。新国立競技場は一見、デジタル技術を駆使した大きな建築ですが、隈氏は主に人間や自然環境の観点で語られました。法隆寺五重塔や明治神宮の軒は日射や雨を凌ぐだけでなく、日本の伝統的な木造技術の美しさがあり新国立競技場でも軒裏等に国産のヒノキやカラマツ等の木を用いて、「人」が見上げた時にデザインの見せ場があることを主張されました。木を多く使う理由として、幼い頃に木造の家で育ち自ら建築に手を加えて修理することができる楽しさを知ったことや、これからの時代は自然素材として木が相応しいことを挙げられました。
他にも小さな店舗から大きな公共建築まで多くの国内外の事例を紹介し「建築の幅が広がった」と結論づけられました。それらの共通点として建築が「人」に相応しい大きさとなる工夫がみられました。つまり、建築設計のアイデアの源は木の玩具や建具、家具等の「小さなものの仕組み」だったのです。
最後に「多様で新しい社会が来た、ものつくり大学はそれに相応しい」と総括されました。まさに本学が進む未来の方向性を示唆されたのです。
建設学科准教授 戸田都生男(とだ・つきお)

研究室の柱とパーテーション

研究室の学生の場を自分たちでつくっていくことが,昨年8月の学生配属以降の一つの課題でした。

先日のオープンキャンパス前にようやくカタチになりました。

 

 

早速,研究室の4年生とオープンキャンパスに来た高校生がこの場で話をして和んでいました。

教員が着任した2016年4月の時点では,学生の場は既成品の机と椅子などがあった程度でしたので,

この春休みには棚を制作し,今回はオープンキャンパスで高校生も研究室の見学に来ることや,

4年生もいよいよ卒業研究が本格化するため,自らの居場所を整備しようと動き出したのです。

 

木材は棚と同様に活動をともにしているスギララケ倶楽部埼玉支部の関係者の方から譲って頂きました。

主にスギの柱材,鴨居材,胴縁材です。

加工場では柱間に入れる胴縁という壁の下地材を削ったり,鴨居や敷居の材料をカットしました。

 

柱の上部と下部にはアジャスターボルトという金具を利用し,

天井と床をボルトを締めて突っ張ることで柱を固定しました。

 

ボルトは柱の中まである程度,貫通しているので自立固定もしますが,鴨居と敷居で柱の上部と下部をつなぎ,

柱を平面上でL字型に配置することで,ボルトの突っ張り(引っ張り)の力に頼るだけでなく,安定するように考慮しました。

柱間には本来,下地材になる胴縁を磨いて,曲線を描くように互い違いに柱間に刻んだ溝に落とし込みました。

ウェーブを描くルーバーのようなパーテーションで,目線は隙間をやや大きく空けて完全に仕切らず見通せる工夫をしました。

作業しながら現場で学生らが意見交換して決断するなど,実際のものづくりを通じて自分たちの居場所ができていく。素晴らしいと思います。