長野木造山荘の増改築設計・施工3「完成」

長野山荘増改築現場も大詰めで排水設備関係の最終段階。

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内部:増築部を既存部から望む
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内部:シャワーユニットと天井の取り合い

水廻り設備はインターネットでデジタルネイティブ世代の学生が施主を支援して支給しました。施主支給ならぬ略して学生支給です。インターネット通販は安価で便利ですが,細かな備品との整合性等、施工者の苦労を聞きました。

シャワーユニットや便器等も,もの自体はコストダウンできても、施工手間等の人工を含めコストアップもあることは,こういった改修で学ぶことになりました。

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増築部 外部:基礎・土台・柱廻り
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内部:増築部の壁面ウッドパネル

壁面のウッドパネルはアクセントとして現場や製材所の端材を活用して学生たちの労作で素晴らしい。

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内部:増築部と既存部の壁仕上げ 板張りの新旧対比
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洗面 台は槐(えんじゅ)・洗面ボールはキッチンボールを活用

内装は既存部と増築部の木材の対比屋や,既製品とオリジナル、つまり既存と新設の新旧対比が著しい。単純に色合いなどを統一するのでなく,あえて違いを見せる美しさも感じてほしいですね。

ロフト:奥は太陽光発電のアダプター等・手前が寝床
内部:完成した増築部を既存部から望む

短期間で卒研生(4年生)とインターン生(2年生)が職人に教わり,完成させました。長野県飯山市の斑尾高原にあるNPO法人の事務所として活用されます!

木造軸組みの減築 移設と改築へ 学内編

数年前から戸田市の空き家改築を進めてきましたが,研究室としては敷地の空き家が施主の意向で取り壊されたため,本学の木造実習の在来工法の軸組を減築して,離れとして移設・改築することに意義を見出しました。

6月2日から実習で学生らが制作した軸組を解体して,既存の番付の墨を消し新しい移設改築後の通り番号を記しました。部材の表面もきれいに磨いて再活用します。

実習では12畳=6坪(2間×3間)の規模を現地では8畳=4坪(2間×2間)とします。㎡(平米・平方メートル)という単位では面積の感覚が分かりにくい場合もありますが,畳の大きさ・数量に置き換えると分かりやすくなりませんか?もっとも,昨今,畳の部屋も少なくなっており,何畳(帖)という方が分かりにくい時代が目前かもしれませんが。。1坪は2畳ですから上記の面積になります。

学内では2か月以上の作業をこなし,8月11日,いよいよ現場へ移設です。

埼玉建築士会支部だより「掲載」

アーキテクトビルダーとしてのデザインビルド的な木造建築教育の試み 戸田研究室5年間の実践

と題して,埼玉建築士会さいたま南支部だより,2021年7月,VOL.22,建築士の目 に寄稿しました。これまでの研究室活動を振り返る機会となり,卒業生はじめ学生たちとの思い出のエピソードがつまっています。

長野木造山荘の増改築設計・施工2

現場での検討内容も多く、大工さんらの知恵や技術を目の当たりに学生らもよい経験になっている様子。

既存部と増築部の取り合い
小屋裏

小屋裏は,なんとか寝転べるくらいで,太陽光発電の機材などの物置として使用予定。

増築部の内装

壁面はスギの無垢板を横張り。フローリングは工務店の既製品の突板余材を活用。本来は床も無垢板を張りたいが,余材を活用するという意味では施主の予算や工務店の材料ストックなどの状況に配慮した。

左:内装の小屋回り・右: 外部の筋交いや雪囲いを渡すための十手金物

内装は設備関係も入り、小屋裏の壁張りが進行。 外部は増築部分の筋交い補強や積雪対策の囲いを渡すための十手金物が付いた。現場担当学生からの日報と写真が毎晩届く。

小屋組み周りの火打ち梁に施された仕上げ

小屋組の火打梁は細かに板張りして上下の凹凸を納めた感じに。合板と無垢板の木目のコントラストも面白い。

内装はほぼ完了。

木造軸組みの減築 移設と改築へ 現地編「基礎」

学内の作業を終え,戸田市内の現場です。基礎工事はプロに任せ,他は概ね監督と作業を学生らが担い,8月半ばから11月下旬まで軸組の建て方と下地・外壁・屋根仕上げ迄が当研究室学生の施工範囲です。

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基礎配筋

基礎配筋が完了し,右側手前が離れ家、左手奥が母屋(昨年度の卒業設計学生案:蔵改修の基本計画)です。いずれもベタ基礎です。 離れ家は平屋で4坪の水回りと土間や縁側スペースで,ここに実習の木造軸組を移設・改築します。

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配筋チェック

炎天下のなか,学生らによる基礎配筋確認の学習です。 2年生インターン生が習ったことを、4年生ゼミ生に説明する予定がいつの間にか逆転しました。

下の写真の手前側,土間の長方形の型枠は飛び石を埋めるスペースです。立ち上りは縦筋と横筋を溶接したユニット鉄筋のためフックはありません(下の写真:基礎配筋詳細)。 やがて見えなくなる所を学ぶ貴重な機会でした。

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基礎コンクリート打設
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基礎配筋詳細

長野木造山荘の増改築設計・施工1

長野斑尾高原での木造山荘増改築工事が5月末に着工しました。研究室としては2年越しのプロジェクトです。

規模は2.5坪位で小さくとも、プロ(工務店)と本学当研究室で協働する意義は大きいでしょう。 雪国での建築は私も初めてで,もちろん学生も初めてでわからないことだらけですが、共に学ぶ、 On-the-Job Training!としての実践です。

遣り方(増築部の位置だし)。右側が既存の山荘
基礎打設
建て方完了: 軸組が斑尾の緑に映える夏至

2021戸田研究室ゼミメンバー&主な活動内容

4年生11名,大学院生1名,教員1名の合計13名で1Qゼミは毎週火曜日に進行中!

大学20周年記念の研究室取材にてメンバー集合写真

今年度は住宅改修など現場の施工が始まるプロジェクトが多く,忙しいですがそれぞれの担当学生を中心にメンバーが協力して進めていくことを望みます!

主なプロジェクト

・埼玉県戸田市空き家改築プロジェクト(設計・施工):現在,実施設計中,6月~7月初旬着工,年内竣工予定

・長野県飯山市木造山荘増改築プロジェクト(設計・施工):現在,現場進行中,5月着工,8月半ば竣工予定

・千葉県佐倉市古民家改修プロジェクト(設計・施工,他大学・本学他研究室協働):現在契約調整中,6月頃着工,年度内竣工予定

・埼玉県加須市古民家改修プロジェクト(設計・施工):現在,実測等調査中,夏頃設計開始,次年度以降施工予定

・研究室木質化プロジェクト(設計・施工):学生自らの居場所を日々,少しずつ木質化などで改修中。靴箱,防音壁,棚,デスクなど今年度制作予定

・・・その他

2020年度卒業証書・青空授与式

今年度も研究室ごとに卒業証書を授与とのことで,木造実習場の半屋外空間で行いました。

大変な年でしたが皆さんそれぞれが励み、卒業となりました。戸田研究室4期生9名おめでとう!と労いたいですが語り合う会食も自粛で寂しいものです。

4年(9名)と3年の一部メンバーで記念撮影

研究室の引越も重なりましたが,卒業見送り準備を3年生主体で設えてくれました。寄せ書きとして大分県日田杉の木製パズルにレーザーカッターで思いを刻んだものを頂き感謝です。私のいない土日に制作したとかなんともありがたい。振り返る間もなくとにかく新天地でのそれぞれのスタートです。

戸田市空き家 敷地の仮塀を木でつくる 

母屋も蔵も解体された敷地には植栽と畑を残して,いよいよ蔵の改修とハナレの移設・・・の前に仮塀として本学実習の廃材を活用して境界に木柵を学生たちが構築しました。

木柵は畑の雰囲気と馴染んでいます。 春の着工に向け少しずつ。