技能五輪全国大会
各都道府県の予選を勝ち抜いた次代を担う23歳以下の青年技能者が42職種で技能レベルの日本一を競う大会です。将来の日本の「ものづくり」を担う若手技能者の技能レベル向上と、技能の大切さをアピールすることを目的として1963年(昭和38年)から毎年開催されています。本学では開学3年目から毎回出場しています。
また、本大会は技能五輪国際大会への派遣選手選考会(隔年)でもあります。
歴代出場・入賞者一覧
(PDFファイル 178KB)
技能五輪全国大会 : 中央職業能力開発協会
金賞・銀賞を2名の学生が入賞!!
第59回技能五輪全国大会(2021/12/17~12/20)が東京都で開催され、建設学科から5職種13名の学生が出場しました(建築大工職種6名・家具職種3名・左官職種2名・造園職種1名・タイル張り職種1名)。
出場学生のうち2名が入賞しました。また、左官職種においては、建設学科3年の石村 祐斗さんが、一般社団法人日本左官業組合連合会より、左官職種競技委員敢闘賞をいただきました。
今回は、コロナ禍のため関係者のみでの開催となりましたが、式典と競技がライブ配信されました。
本年度もたくさんの皆様にあたたかいご声援をいただき、誠にありがとうございました。
出場者・入賞者
職種 | 学年・氏名・出身校 | 賞 | |
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建築大工 | 1年 松村 拓夢(埼玉 熊谷工業高校 出身) 2年 小堺 奨栄(埼玉 熊谷工業高校 出身) 3年 青木 季羽(群馬 前橋工業高校 出身) 4年 浅浪 遊子朗(茨城 水戸工業高校 出身) 4年 石田 敦也(埼玉 熊谷工業高校 出身) 4年 大槻 聡太(静岡 静岡県富士見高校 出身) |
1年 松村 拓夢 : 銀賞 | |
家具 | 2年 桐山 実久(愛媛 吉田高校 出身) 3年 鈴木 岳大(兵庫 龍野北高校 出身) 3年 三明 杏(埼玉 川越工業高校 出身) |
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左官 | 3年 石村 祐斗(愛媛 川之江高校 出身) 4年 原 祐(長野 野沢南高校 出身) |
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造園 | 1年 田子 雅也 (群馬 勢多農林高校 出身) | 1年 田子 雅也 : 金賞 | |
タイル張り | 1年 林 和真 (長野 伊那弥生ケ丘高校 出身) |
第59回技能五輪全国大会 学生インタビュー
第59回技能五輪全国大会にて受賞した2名と左官職種競技委員敢闘賞をいただいた学生に、競技にかける思いや大会までの道のり、今後の目標などを伺いました。
造園職種 金賞 建設学科1年 田子 雅也さん悲願の金賞、次の目標は国際大会
もともとデザインや造形が好きで、高校では造園部に所属していました。高校1年生の時に、部活動のみんなと技能五輪全国大会に向けた予選会に出場し、予選を突破したことがきっかけで、初めて全国の舞台に立ちました。それから3年連続で出場しましたが、金賞受賞の経験はありません。高校と違い、大学では一人暮らしの多忙さや、屋外練習での照明不足の為、夜遅くまで練習することができませんでした。また、今回の大会は、ペアが必要なかったこともあり、一人だけの練習も辛かったです。しかし、非常勤の先生やアルバイト先の社長さん、造園関係の先輩方からのご指導や励ましに、「これまで以上の賞を取ろう」という気持ちで頑張ることができました。
本番では、自分のペース配分で落ち着いて取り組めたので、時間内に完成させることができました。入賞できるか自信はありませんでしたが、金賞をいただけたことは非常に嬉しかったです。来年度の大会は、国際大会の予選を兼ねており、ペアでの出場が条件です。そのため、大学の掲示板で一緒に出場する学生を募集したいと思っています。そして、興味を持った学生に造園の良さや技術を伝えていきたいと思います。目標は、金連覇です!
先輩たちの背中を追いかけ、切磋琢磨した日々
高校3年生の時に技能五輪全国大会に出場しました。その時は敢闘賞を受賞しましたが、メダルに届かず悔しい思いをしました。その後、指導をしてくれた先生からものつくり大学への進学を薦められ、もう一度チャレンジしてみようという思いで入学を決意しました。しかし、入学後、授業と並行しながら練習をすることや、大工道具の手入れに想像以上に時間がかかってしまい、思うように練習ができないこともありました。くじけそうな中で、先輩方から技術の指導だけではなく、日本の建築に携わる幅広い知識を得ることができ、学んだことを生かしながら練習に取り組みました。土日は本番を想定した通し練習を行い、平日は一緒に出場する5人の先輩方と頑張りました。
本番では、練習の方が上手に組み立てられたなという気持ちだったので、銀賞を受賞したことが分かった時は、まさか自分が…と、嬉しさよりも驚きの方が大きかったです。今後の課題として、本番で緊張しやすい性格を克服し精神的に強くなるため、練習中でも大会を想定した緊張感のある状態で取り組んでいきたいと思います。日頃の授業でも率先して人前で発表する機会をつくることで自信と積極性を身に付けたいです。また、来年度には後輩も入ってくるので、自分が持っている技術を教えながら共に成長し、次回も技能五輪全国大会に出場して金賞を受賞したいです。
仲間と助け合い、共に挑んだ技能五輪
父が左官職人で、小さいころから家の手伝いをさせられていたという気持ちが強く、あまり左官は好きではありませんでした。進路選択では、特に目標もないまま左官を学ぶことに決めましたが、どうせやるなら人脈を広げたい、違う世界を見てみたいという思いから、故郷である愛媛県を離れ、ものつくり大学に入学しました。
技能五輪までの期間は、週に一度非常勤の先生に来ていただき指導してもらいましたが、それ以外に教えてもらえる場がなかったので、一緒に練習している仲間と共にアドバイスし合いながら不安を解消しました。自分たちだけで練習する時は、出場経験のある先輩に指導していただくこともありました。
本番は、練習ではなかった失敗をするなどハプニングもありましたが、何とか完成させることができました。結果として左官職種競技委員敢闘賞をいただくことはできましたが、自己採点は70点くらいです。今回の大会を通して失敗や成功を繰り返したことで成長出来たと思うので、また技能五輪に出場できるなら、日本一を取りたいです。しかし、技能五輪出場はひとつの通過点に過ぎません。左官職人として生きていくために、技能五輪のその先を見つめながらもっと練習をして腕を磨いていきたいです。
指導教員のコメント
建築大工職種
「建築大工職種」の競技課題は「多面体小屋組」です。木造小屋組(桁、梁、束、垂木、振隅木及び小屋筋かい等を含む)は、建築大工職種の常連課題です。
また、競技前日に公表される「追加課題」も毎年のように課されます。今年の課題では、⑲番の部材が追加されました。課題の審査は、原寸図(展開図)の正確さ、各部材の墨付けの精度、完成した課題の出来ばえで評価されます。課題の難易度について選手たちは、ほぞ加工が少ないので制限時間内には完成するが、各部材の取り合いが多く、その墨付け・刻みが難しく、部材相互のズレや隙間などが生じないよう墨付け・刻みの精度を上げるのに苦労したようです。
(建設学科教授 小野 泰)
家具職種
私たちの身の回りには、大小様々な家具があります。家具職種の課題は「木製キャビネット」の製作です。二日間、合計11時間をかけて、指示された図面通りにキャビネットを製作し、その出来映えを競い合います。「商品としてお客様に買ってもらえる出来映えになっているか?」そこが重要です。指示された寸法通りか?指示された組み方で隙間無く接合部が作られているか?接着が正しく行われているか?表面の仕上がりは?そういった項目を全てクリアするために、選手たちは毎日練習を重ね、大会本番に臨みました。
(建設学科教授 佐々木 昌孝)
左官職種
金鏝(かなごて)と木鏝(きごて)などを駆使して壁の表面をデザインする左官技能者。その歴史は古く、飛鳥時代まで遡ります。近年、土壁を施した家屋は少なくなりましたが、天然素材の塗り壁は断熱性や保温性、防火性などの優れた機能を持つことから安心、安全、健康な素材として再び注目を集めています。競技では、墨出し作業に始まり、World Skills Competition Plastering and Drywall Systems にも採用されている軽量鉄骨に石膏ボードを取り付けて下地を制作します。石膏置き引き作業を経て出来上がったモールディングを切断加工して取付けます。また、コーナー定木を取り付けた後に、厚塗り、薄塗り仕上げを施し、さらには、欧州仕様のパテしごきを行い、最後に自然素材を使用した自由課題で感性を表現します。石村選手と原選手の2名は事前に公表された課題図面に基づき、軽量鉄骨組立ておよび石膏ボード張りの正確な下地施工と石膏の造形美および鏝塗りの技能、仕上がりの美しさ、精度の正確さなどを競ってくれました。本当に、お疲れさまでした!!
(建設学科教授 三原 斉)
造園職種
造園職種の課題は、一人作業で施工図面に従って3.5m×2.5mの区画内に庭園の見栄えを良く作庭作業を行います。石積み、小舗石や敷地の敷設、塀の制作と設置、樹木や季節の草花の植栽、芝生張り等を行います。作業時間は、10時間です。World Skills Competition Landscape Construction に準じて、競技前日の課題一部変更やモジュール採点もあります。2021年度金メダルを受賞した田子選手は、樹木や石に関する深い知識と空間構成力やデザインセンスに優れており、それら技の正確さとスピードとともに応用力もあり、本課題を見事に完成させてくれました。2022年度の上海WSCには出場が叶いませんでしたが、2024年度に行われるフランス・リヨン大会ににけて、技能の高度化を図り、熟達度の向上を目指してほしいと思います。是非、大きな夢をつかんでいただきたいと思います!!
(建設学科教授 三原 斉)
タイル張り職種
課題は壁および床を想定した下地にタイルを張り、目地詰めを行います。課題にはタイル張りに必要な要素をできるだけ取り入れており、様々な角度から技術・技能とその作品が審査されます。選手は大会までの土日祝日を含めて、講師の先生方の熱心な指導を受け練習を重ねました。当日はその成果を発揮してくれましたが、惜しくも入賞に至りませんでした。ただ、まだ1年生、今後の研鑽に期待です。
(建設学科准教授 松岡 大介)
競技内容
建築大工職種
課題例
木造小屋組(桁、梁、束、垂木、振隅木及び小屋筋かい等を含む)の一部を製作します。今年の課題は、一部の部材寸法、勾配又は取り付け位置などが「当日公表」されました。作品は、原寸図(展開図)の正確さ、製作した課題の寸法精度および出来ばえで評価されます。
課題PDF (PDFファイル 281KB)
家具職種
課題例
机や椅子のような角材を使う「脚部」や、たんすや書棚などの板材を加工する「箱物部箱部」、そのほか「蓋および引き出し部」で構成された木製家具を、迅速かつ丁寧に製作する技能を競います。箱物は収納が目的となるため、引き出しや引戸などのスムーズな動作が必須。そのほか図面の仕様書との整合性、寸法、木地表面の出来栄えなども評価対象です。
課題PDF (PDFファイル 346KB)
左官職種
課題例
鏝と呼ばれる左官独特の道具を使い、壁を想定した下地に石こうや石灰を主材料とした塗り壁を造ります。また、石こう置引きの左官技法を用いて、モールディング作業を行います。特に接合部の美しさが評価されます。
課題PDF (PDFファイル 669KB)
造園職種
課題例
決められた区域内に石積みや石張り、木製ベンチ、池、木柵、植栽、芝生張りなどを行い、和風と洋風の造園技法を織り交ぜ、外構工事における総合的な造園技能の熟練度を競うものです。
課題PDF (PDFファイル 219KB)
タイル張り職種
課題例
課題は壁および床を想定した下地にタイルを張り、目地詰めを行います。課題にはタイル張りに必要な要素をできるだけ取り入れており、様々な角度から技術・技能とその作品が審査されます。
課題PDF (PDFファイル 341KB)
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